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2015 Fiscal Year Annual Research Report

mTORC1シグナルを介した胸腺環境維持機構の解明

Publicly Offered Research

Project AreaAnalysis and synthesis of multi-dimensional immune organ network
Project/Area Number 15H01164
Research InstitutionKansai Medical University

Principal Investigator

松田 達志  関西医科大学, 医学部, 准教授 (00286444)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords胸腺退縮 / 胸腺上皮細胞 / mTORC1
Outline of Annual Research Achievements

T細胞を「教育」する場としての胸腺環境の重要性は言をまたず、その発生過程に関する知見は急速に深まっている。その一方、老化に伴う「胸腺退縮」の過程で胸腺環境が受けている制御の詳細については、未だ不明な点が多く残されている。研究代表者は、ごく最近、胸腺環境のmTORC1シグナルを誘導的に欠失させることで、本来は「年」の単位で進む胸腺退縮の過程を「数週間」に縮めうることを見出した。本研究ではこの系をモデルに、胸腺退縮を引き起こす分子基盤の解明を目指すとともに、その生理的意義の検証に取り組んだ。本年度は設定した3つの課題のうち、課題1「胸腺退縮の分子機構の解明」ならびに課題3「老化に伴うmTORC1シグナル変化の検証」について成果を得た。
課題1「胸腺退縮の分子機構の解明」に関しては、FACS解析の結果、mTORC1シグナルの欠失により、mTEC:cTECの比率の低下が観察されると共に、上皮細胞数の減少が観察された。この結果は、老齢マウスに認められる胸腺上皮細胞の変化に類似しており、mTORC1シグナルの低下によって、老齢マウスに見られる胸腺退縮と同様の変化がもたらされている可能性が示唆された。実際、課題3「老化に伴うmTORC1シグナル変化の検証」において、老齢マウスの胸腺を回収し胸腺上皮細胞におけるmTORC1シグナル伝達経路の活性を定量したところ、若齢マウス由来の胸腺上皮細胞に比して有意な低下が認められた。以上の結果は、老齢化に伴う胸腺退縮の背景に、mTORC1シグナルの低下が存在することを示唆するものと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、課題1「胸腺退縮の分子機構の解明」、課題2「胸腺退縮がT細胞分化に及ぼす影響の評価」ならびに課題3「老化に伴うmTORC1シグナル変化の検証」への取り組みを通じて、胸腺退縮の持つ生理的意義とその分子基盤の解明を目指す。現在までに、課題1・課題3への取り組みを通じて、mTORC1シグナルの低下が、加齢に伴う胸腺退縮の要因の一つであることを強く示唆する結果を得ている。一方、課題2「胸腺退縮がT細胞分化に及ぼす影響の評価」に関しては、内在性の胸腺を欠損したC57BL/6-nudeマウスの腎皮膜下に、Raptor-ERT2マウス(注:タモキシフェン処理により任意のタイミングでRaptorを欠失可能)の胎児胸腺を移植することで、Raptorの欠失がT細胞分化に与える影響の評価を試みた。しかし、C57BL/6-nudeマウスの繁殖がうまく進まず、また移植自体に高度な手技が必要となることから、想定していた数の解析に取り組むことができていない。

Strategy for Future Research Activity

課題1「胸腺退縮の分子機構の解明」と課題3「老化に伴うmTORC1シグナル変化の検証」に関しては、当初の計画通り、mTORC1シグナルの低下が胸腺退縮を引き起こす分子機構の解明に取り組むとともに、mTORC1シグナルの人為的亢進によって胸腺退縮を回復することが可能か否か、検証を進める。なお、課題2「胸腺退縮がT細胞分化に及ぼす影響の評価」へのアプローチにも共通することであるが、C57BL/6-nudeマウスの腎皮膜下への胎児胸腺移植の系を用いて解析を進めるのは、技術的に困難であると判断されるため、当初計画の一部を変更し、胸腺上皮細胞においてタモキシフェン誘導性のCreを発現可能なK14-CreERマウスを利用した解析に取り組むこととする。具体的には、K14-CreERマウスとRaptorコンディショナルノックアウトマウス・Tsc1コンディショナルノックアウトマウスを交配して得られるマウスを用いて、mTORC1シグナルの低下・亢進がT細胞機能や及ぼす影響を評価する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ADAM12 and ADAM17 are essential molecules for hypoxia-induced impairment of neural vascular barrier function.2015

    • Author(s)
      Cui, D., Arima, M., Takubo, K., Kimura, T., Horiuchi, K., Minagawa, T., Matsuda, S., and Ikeda, E.
    • Journal Title

      Sci. Rep.

      Volume: 5 Pages: 12796

    • DOI

      10.1038/srep12796.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] FcεRIα-Creノックインマウスを用いたマスト細胞機能の解析2015

    • Author(s)
      松田達志、江口稚佳子、金光沙也加、渡邊利雄
    • Organizer
      第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会合同大会
    • Place of Presentation
      神戸国際会議場(兵庫県・神戸市)
    • Year and Date
      2015-12-01 – 2015-12-04

URL: 

Published: 2017-01-06  

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