2015 Fiscal Year Annual Research Report
パイエル板濾胞随伴上皮(FAE)の機能制御を行う微小環境の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of multi-dimensional immune organ network |
Project/Area Number |
15H01165
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金谷 高史 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (20553829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | FAE / パイエル板 / IL-22BP |
Outline of Annual Research Achievements |
パイエル板を覆う上皮細胞層(FAE)には抗原取り込みを行うM細胞が存在することから、腸管免疫応答において重要な部位である。FAEにおけるM細胞の割合は5-10%程であり、その他は吸収上皮細胞で構成されている。M細胞を含むFAEの分化はパイエル板のSED領域(FAEの直下)の微小環境の影響を大きく受ける。例えばSED領域に分布するストロマ細胞はRANKLをこう発現し、このRANKLはM細胞分化に必須な因子であることが報告されている。申請者の所属研究室では、他にもFAEに影響を及ぼす因子を探索しており、SEDに分布する樹状細胞においてIL-22結合タンパク質(IL-22BP)が高発現することを見出している。本研究ではIL-22BPがFAEの分化や機能に影響を与えると仮定し、研究を進めた。はじめにIL-22BPを発現する樹状細胞の特定を行った結果、SEDに分布するCD11b+CD8a-樹状細胞であることが明らかとなった。CD11b+CD8a-樹状細胞は脾臓や末梢リンパ節で確認できるサブセットである。しかしながら脾臓に分布する同サブセットにおいてはIL-22BPの発現はほとんど検出されなかった。このことはSED領域の微小環境がCD11b+CD8a-樹状細胞のIL-22BP発現能に大きな影響を与えることを示唆する。次にIL-22BP欠損マウスを用い、IL22BPのFAEの性状に与える影響を解析したところ、FAEにおけるIL-22シグナルの亢進が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-22BPがFAEの性質を規定する微小環境の構成因子の一つとして作用することを見出した。また、IL-22BP産生細胞を同定することに成功した。また、IL-22BP欠損マウスを用いた解析も開始している。よって次年度の研究項目を順調に進められる見通しがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により、IL-22BP欠損マウスのFAEにおいてIL-22シグナルが亢進することが確認された。次年度はこのIL-22シグナルの亢進がFAEの性状(M細胞やその他のFAE細胞の分化や機能)にどのような影響を与えるか解析する。また、同時に腸管免疫系を及ぼす影響も解析する予定である。
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