2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物免疫における受容体シグナルのクロストークの分子基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
15H01242
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川崎 努 近畿大学, 農学部, 教授 (90283936)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物免疫 / 受容体 / RLCK / MAPK |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の細胞膜上には多くの受容体が存在し、細胞外情報を細胞内に伝達している。その際、細胞内では、MAPKカスケード(MAPKKK- MAPKK- MAPKの3つの異なるタンパク質リン酸化酵素による信号伝達経路)が活性化されることが知られている。しかし、それらの受容体シグナルによるMAPKカスケードの活性化が独立しているのか、あるいはクロストークしているのかは不明である。我々は、病原菌由来のキチンを認識する受容体CERK1が、受容体型細胞質キナーゼPBL27をリン酸化することで、キチン認識シグナルを細胞内に伝達すること、また、PBL27はMAPKKK5を介して、キチンに応答したMAPKの活性化を制御することを明らかにした。一方、細胞膜受容体であるFLS2は、病原細菌由来の鞭毛タンパク質由来のペプチドflg22を認識し、細胞内でMAPKの活性化を誘導することが知られているが、その分子機構は不明である。PBL27やMAPKKK5の機能欠損変異体では、キチンに応答したMAPKの活性化が抑制される一方で、flg22に応答したMAPKの活性化は上昇していることが明らかになった。このことから、CERK1とFLS2を介した信号伝達経路がクロストークしていることが示唆された。さらに、cerk1変異体では、flg22に応答したMAPKの活性化が上昇し、同様に、fls2変異体では、キチンに応答したMAPKの活性化の上昇が検出された。このことから、fls2変異体において、CERK1およびPBL27、MAPKKK5の発現量の上昇が予測されたが、転写レベルでの影響は見られず、タンパク質量や活性制御との関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通りに、クロストークへの関連が予測される受容体、RLCK、MAPKKKの遺伝子の転写レベルの解析を行ったが、直接、クロストークとの関与が示唆されるデータは得られなかった。しかし、PBL27-HAを発現させるコンストラクトをfls2変異体に導入した植物の解析により、fls2変異体では、PBL27のタンパク質量が増加しているという予備的な結果が得られた。このことは、RLCKファミリーのタンパク質量がクロストークに関与している可能性を示唆している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により、PBL27やMAPKKK5だけでなく、CERK1あるいはFLS2の欠損により、両受容体間でMAPKの活性化にクロストークが見られることが明らかになった。その一方で、活性酸素の生成においては、クロストークが見られていない。予備的な結果として、fls2変異体におけるPBL27のタンパク質量の上昇が、キチンに応答したMAPKの上昇に関連していることが示唆されたため、受容体からのシグナルを受けるRLCKの量がクロストークを規定している可能性が考えられる。そのため、それを検証するための実験を行う。
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Research Products
(23 results)
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[Presentation] MAPKKK5 regulates activation of MAP kinases after perception of fungal chitin in Arabidopsis2016
Author(s)
Koji Yamaguchi, Kenta Yamada, Tomomi Shirakawa, Akira Mine, Mari Narusaka, Yoshihiro Narusaka, Kazuya Ichimura, Kenichi Tsuda, Fukamizo Tamo, Naoto Shibuya, Tsutomu Kawasaki
Organizer
第57回 日本植物生理学会年会
Place of Presentation
岩手大学(岩手県盛岡市)
Year and Date
2016-03-18 – 2016-03-20
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[Presentation] XopP, a type III effector of Xanthomonas oryzae, suppresses plant immunity via modulation of OsPUB44 ubiquitin ligase activity2015
Author(s)
Kazuya Ishikawa, Kenta Inoue, Koji Yamaguchi, Kazuaki Sakamoto, Yuichiro Muraguchi, Shiori Kitano, Madoka Ogawa, Seiji Tsuge, Tsutomu Kawasaki
Organizer
The 4th International Conference on Biotic Plant Interactions
Place of Presentation
International Conference Hotel of Nanjing (中国)
Year and Date
2015-08-01 – 2015-08-03
Int'l Joint Research
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[Presentation] PBL27, a member of RLCKs, directly transduces immune signal from chitin receptor to MAPK cascade in plant immunity2015
Author(s)
Kenta Yamada, Koji Yamaguchi, Tomomi Shirakawa, Kazuya Ishikawa, Mari Narusaka, Yoshihiro, Narusaka, Kazuya Ichimura, Tamo Fukamizo, Naoto Shibuya, Tsutomu Kawasaki
Organizer
The 26th International Conference on Arabidopsis Research
Place of Presentation
パリコングレスセンター (フランス)
Year and Date
2015-07-03 – 2015-07-10
Int'l Joint Research
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