2015 Fiscal Year Annual Research Report
コネクトーム技術を用いた脳内微小構造の標準化と異常解析
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling micro-endophenotypes of psychiatric disorders at the molecular, cellular and circuit levels. |
Project/Area Number |
15H01281
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
深澤 有吾 福井大学, 医学部, 教授 (60343745)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シナプス / 電子顕微鏡 / 精神神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ヒトの認知症や精神疾患に類似した行動薬理学的表現型の原因が、脳内シナプスの構造異常(マイクロエンドフェノタイプ)として表出すると仮定し、シナプス構造を高分解能且つ3次元的に評価できる観察系を構築すること、そして、この観察系を用いて精神神経疾患モデルマウスの構造異常を同定することを目的としている。 そこで、本年度は3次元超微細構造観察に適した試料調整方法の最適化を行いながら、野生型マウス、及び、学習機能に関連した行動異常を示す遺伝子欠損マウス2系統の歯状回中間層、海馬CA1領域放射状層のシナプス構造の高分解能3次元観察を行った。シナプスの微小構造情報を計測する対象としては、シナプス前ボタン、シナプス小胞、シナプス前ボタン内ミトコンドリア、シナプス後樹状突起スパイン、シナプス後肥、スパイン内小胞体とした。これら微小構造の構造情報を計測し、計測項目間の相関関係を検討した。その結果、シナプスの種類に応じた各種構造相関が存在することを見出すと共に、その相関関係が欠損遺伝子依存的に変化することも見出した。 これらの知見は、脳内のそれぞれの神経連絡毎に固有のシナプス構築原理が働いていること、そして脳機能異常を引き起こす遺伝子欠損の影響がシナプスの微細形態上の変化(マイクロエンドフェノタイプ)として現れることを証明するものである。 今後、より多くのシナプスのデータを蓄積することで、脳内シナプスの構造的な普遍性と多様性を明らかにし、更に、神経疾患を呈するモデルマウスにおけるシナプス構造の異常と行動薬理学的異常との関連性を解析することで、精神神経疾患の原因特定に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、同一シナプス種におけるマウス個体間のばらつきも検討する予定であったが、開始当初高分解能画像の取得方法の検討や画像解析の手法の確立に予想以上の時間と労力がかかり完了できていない。しかし、これまでの研究で画像取得はルーチン化することに成功し、解析に関しても自動化を取り入れるなど、解析の高速化や効率化が図れるので、この後の研究の推進に問題は無い。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象とするシナプス種を増やすこと、更に、精神疾患モデルマウスの種類を多くすることを通して、より多くのシナプスからデータを蓄積し、脳内シナプスの構造的な普遍性と多様性を明らかにし、更に、神経疾患を呈するモデルマウスにおけるシナプス構造の異常と行動薬理学的異常との関連性を解析することで、行動制御に関わる神経回路とシナプスの同定、並びに、精神神経疾患の原因特定に繋げる。
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Research Products
(2 results)