2016 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患に関与する遺伝環境因子で前頭前野発達期に現れるマイクロエンドフェノタイプ
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling micro-endophenotypes of psychiatric disorders at the molecular, cellular and circuit levels. |
Project/Area Number |
15H01285
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 武 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (90615717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前頭前野 / 発達精神障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知機能に重要な前頭前野(PFC)の発達、特に思春期における発達の生物学的過程をマウスで明らかにし、その発達期に発達精神障害の発症に関与すると考えられる遺伝、環境要因によって引き起こされるマイクロエンドフェノタイプをそれらの要因で引き起こされる行動表現型と相関させるのがこの研究の目的である。遺伝子発現解析,組織学的解析により、局所の神経回路の指標となるミエリン形成やパルブアルブミン陽性細胞の出現は生後3-4週に起こるものの、マウスの思春期にあたる生後5-8週にかけては、ドパミンの様な神経調節系に依存してパルブアルブミン陽性の抑制性の神経細胞の成熟が起こることが示唆された。自閉症や統合失調症の発症に関与すると考えられるシナプスの分子であるシャンク3の欠損マウスでは思春期以前のPFCの発達が全体として遅いこと、またそれを補完するかの様に思春期にパルブアルブミンの発現上昇及びドパミン受容体の発現が上昇していることが明らかとなった。一方、統合失調症に繋がると考えられる母体感染のモデルとされるポリIC処理では、シャンク3の様な思春期前の発達過程に大きな変化は見られないものの思春期にシャンク3と同様にドパミン受容体の発現が上昇していることが明らかとなった。また、行動表現型としては、シャンク3マウスでは注意機能に低下が見られ、ポリIC処理ではプレパルス阻害の異常が見られる。したがって、本研究で明らかにされた思春期に見られる様々な生物学的過程の異常というマイクロエンドフェノタイプが、このような行動異常の背景にあるということが示唆された。こういった行動異常を表現型とする発達精神障害の診断治療にこのように明らかにされたマイクロエンドフェノタイプをどのように指標として使っていくかの確立が今後の課題と考えられる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)