2015 Fiscal Year Annual Research Report
各種精神疾患のde novo発症に共通に関連する遺伝子の機能解析と病態解明
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling micro-endophenotypes of psychiatric disorders at the molecular, cellular and circuit levels. |
Project/Area Number |
15H01304
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
星野 幹雄 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, 部長 (70301273)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経科学 / 発生・分化 / 脳神経疾患 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、厳密な細胞分画実験と免疫染色実験により、AUTS2蛋白質が神経細胞の核だけでなく、細胞質領域、特に神経突起部分にも多く存在することを見いだしていきた。また、AUTS2蛋白質が神経細胞の細胞質において、アクチン細胞骨格系を制御することで、神経細胞移動や神経突起伸長に関与することを明らかにしてきた。本年度においては、ノックアウトマウスの解析からAUTS2がシナプス形成に関与すること、小脳の正常な構造形成に必要とされることを見いだした。 一般的に、精神疾患の背景には、多かれ少なかれ脳神経系の発生異常があるであろうと考えられている。我々は、このようなAUTS2の機能が障害されることで脳神経ネットワーク構築が阻害され、その結果として『神経恒常性』が破綻し、各種精神疾患が惹起されるのではないか、と考えている。実際に、AUTS2ノックアウトマウスの行動解析では、不安の低下、記憶力の低下、知覚過敏、社会性行動の低下、などが見出された。このことから、このマウスが精神疾患の動物モデルとして利用出来ると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AUTS2分子の機能については、これまでの発表(Hori et al., Cell Rep 2014)に加えて、シナプス形成にへの関与と小脳発生への関与を見いだした(投稿準備中)。また、行動解析から、AUTS2遺伝子の変異によって、各種精神疾患様の行動異常が見出されることを報告した(Hori et al., PLoS One 2015). さらに、新たな疾患アリルを作成中であり、2年度にはその解析に入ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ヒト変異遺伝子型AUTS2を持つマウス系統の解析 現在は、統合失調症型、ASD型の変異をAUTS2マウスゲノム中に導入したマウスモデルを作成中である。それらが得られたあと、それぞれの系統におけるAUTS2の遺伝子発現について、異常があるかどうか検証する。次に、それぞれの系統において、神経細胞移動や神経突起伸長、シナプスの形成と機能、について、異常があるかどうかについて調べる。さらに、生後において(致死の場合にはヘテロ接合体のみ)、一連の行動解析(協調運動観察、オープンフィールドテスト、高架式十時迷路、3チャンバーテスト、恐怖条件付記憶、水迷路、プレパルスインヒビション、その他)を行い、それぞれのヒト精神疾患(統合失調症とASD)と、それに相当する変異を持ったマウス系統の病態に関連性があるかどうか、詳しく検討する。 (2) ヒト変異遺伝子型AUTS2の分子機能異常の解析 上記(1)と同じ変異の入ったマウス(あるいはヒト)AUTS2蛋白質をコードするcDNAを作製し、発現ベクターに入れる。そして、それを培養細胞株(N1E-115細胞)または海馬初代培養細胞に遺伝子導入し、それぞれの変異AUTS2蛋白質が、Rac1やCdc42の活性を制御しアクチン細胞骨格を再構成する機能を維持しているのか、神経細胞移動や突起伸長を促す機能を維持しているのか、などについて調べる。AUTS2 KOマウスの形態的表現型を、変異型分子でレスキューできるかどうかも調べる。
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[Journal Article] Origins of oligodendrocytes in the cerebellum, whose development is controlled by the transcription factor, Sox92016
Author(s)
Hashimoto R, Hori K, Owa T, Miyashita S, Dewa K, Masuyama N, Sakai K, Hayase Y, Seto Y, Inoue YU, Inoue T, Ichinohe N, Kawaguchi Y, Akiyama H, Koizumi S, Hoshino M
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Journal Title
Mech Dev
Volume: 140
Pages: 25-40
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Cytoplasmic function of AUTS2 in neural network formation2015
Author(s)
Hoshino M, Nagai T, Shen W, Sakamoto A, Taya S, Hashimoto R, Hayashi T, Abe M, Yamazaki M, Nakao K, Nishioka T, Sakimura K, Yamada K, Kaibuchi K, Hori K
Organizer
Society for Neuroscience 45th annual meeting
Place of Presentation
McCormick Place, Chicago, IL, USA
Year and Date
2015-10-17 – 2015-10-21
Int'l Joint Research
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