2015 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞におけるインテグリン動態制御マシナリーの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
15H01330
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
錦見 昭彦 北里大学, 理学部, 准教授 (70404019)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リンパ球 / 接着 / インテグリン / ケモアトラクタント / filamin |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ球が血管内皮上で停止したり、ストローマ上で遊走するにあたり、ケモアトラクタントの刺激に応答して、細胞内でインテグリンLFA-1が活性化したうえで、細胞膜上で集積することにより、血管内皮細胞やストローマ細胞に接着することが重要である。これまでの研究から、ケモアトラクタントの刺激により、LFA-1に会合して活性を抑制する分子が解離することでLFA-1の構造変化が促されて活性化されることが示唆されていた。本研究では、この抑制分子がfilaminであると考え、これを検討した。その結果、定常状態でfilamin1はLFA-1に会合しており、ケモアトラクタントの刺激により活性化したRap1がfilaminに会合することにより、filaminがLFA-1から解離することが示された。また、filaminを欠損したリンパ球は、LFA-1のリガンドであるICAM-1との接着活性が向上しており、灌流環境下で、血管内皮上でのローリングや停止の頻度が上昇していた。また、filaminn欠損リンパ球のICAM-1上での遊走やトランスマイグレーションについて検討したところ、野生型と比べていずれも亢進していた。これらのことから、filaminがLFA-1の活性制御に関与していることが明らかになった。 一方、リンパ球が遊走するには一旦形成された接着点が、適宜解消される必要がある。エンドサイトーシス阻害剤存在下で、リンパ球のICAM-1上での遊走を検討したところ、接着点が解消されないことが明らかになった。この条件下では、LFA-1の細胞内への取り込みが抑制されていることから、エンドサイトーシスを介してLFA-1が取り込まれることにより、接着点が解消されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケモアトラクタントに応答したLFA-1の活性化メカニズムについて、filaminを介した分子機構を明らかにすることができ、これまでの研究成果とあわせて、LFA-1が活性化されて細胞膜上に集積するまでの機構を明らかにすることができた。また、接着点のメカニズムについても、エンドサイトーシスを介したメカニズムを示唆するデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ球が遊走するにあたり、インテグリンLFA-1を介した接着点を解消するにあたり、エンドサイトーシスによりLFA-1を取り込む機構を分子レベルで明らかにする。また、本研究の過程で、これまで不活性と考えられてきたGDP結合型のRap1が、リンパ球の接着を抑制し、リンパ球の恒常性を維持していることを示唆する結果が得られた。この詳細なメカニズムについても明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)