2015 Fiscal Year Annual Research Report
rRNA遺伝子上での包括的なDNA-タンパク相互作用情報の抽出基盤の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
15H01361
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
井手 聖 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (50534567)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クロマチン / 人工核酸 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は自ら開発してきたePICh法(配列特異的クロマチンプロテオミクス法)を用い、リボソームRNA(rRNA)遺伝子上での転写の各過程が起こっている現場にいる多数のタンパク群を網羅的に同定し、転写サイクルの一面を理解することを試みている。平成27年度において、リボソームRNA(rRNA)遺伝子上での包括的なDNA-タンパク相互作用情報の抽出基盤の構築にむけて、以下の3つ結果を得た。 (i) 留学先で代表者が自ら開発したプロモーター領域に結合しているタンパク群の精製法が現所属先でも再現できることを確認した。rRNA遺伝子上での包括的なDNA-タンパク相互作用情報の抽出基盤を構築するための大前提であり、必要なパイプラインが揃ったことを意味している。 (ii) これまで受託に頼ってきた質量分析計によるタンパク同定の過程を、所属する研究機関に設置されてある質量分析計により、自前でタンパク同定できるようになった。このプロセスはクロマチン精製のデータの最終的なアウトプットの部分なので、 結果を解釈するために、重要である。自ら行う事で、質量情報からタンパク情報に変換する際の計算過程の理解を深めることで、コンタミタンパクを除き、潜在的に機能性タンパクを選び出すことができる。 (iii) 今後得られるDNA-タンパク相互作用情報から、転写サイクルの鍵となりうる因子を選びするための実験系を作成した。具体的には、 プロモーター領域に結合しているタンパクをコードする各遺伝子に対してsiRNAを作成し、ノックダウンした後、核小体内のエチニルウリジンの取り込みを定量した。その結果、新生rRNAの転写量が減少する2つの新規因子が選び出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
rRNA遺伝子上での包括的なDNA-タンパク相互作用情報の抽出基盤を構築するためには、3つのステップに分けられる。①人工核酸プローブの合成、②精製系の確立、③精製した溶出液の中から質量分析計による タンパクの同定の3つのステップに分けられる。②③に関しては、一定の進歩があったが、①については、エンハンサー、コーディング、ターミネーター は異なる塩基配列をコードしているため、各制御配列に対する人工核酸LNAオリゴプローブが必要であった。平成27年度に予定していたプロジェクトの根幹に関わる部分の一つであるが、目的の人工核酸が国外産であるため、円安や物価の高騰により、現状の予算内では、入手困難となっていて進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
円相場や物価の動向を見ながら、必要な人工核酸(LNA)と国内生産である別の人工核酸(ENA)の各アミダイドを購入する。人工核酸合成の専門家である東京工業大学清尾博士の協力を取り付けたので、そちらに赴き、専門家のサポートの下、自ら合成する。また、プロジェクトが遅れているのでバックアッププランとして、すでにプロモーター領域に結合している因子として同定されており、かつsiRNAスクリーニングによって選びだされた2つの新規因子を解析し、転写のどのステップに寄与しているかを明らかにする。
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Research Products
(5 results)