2015 Fiscal Year Annual Research Report
随意運動神経回路の機能シフト
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
15H01438
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 俊英 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10301269)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経回路 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中枢随意運動回路の可塑性を制御する機構を明らかにすることを目的とする。これまでの研究で、中枢神経損傷後に、運動機能を制御する皮質脊髄路が、損傷を免れた軸索から頚髄のレベルで側枝を形成し、interneuronsに新たな回路を形成することを明らかにした。さらに運動神経回路の再編成現象を明確に評価するin vivoのシステムを確立し、神経回路の可塑性制御に関わる分子を同定した。本研究では、まず脳障害後の神経回路修復モデルを用いて、随意運動神経回路の可塑性を制御する上位の神経回路のメカニズムの解明を行う。本年度においては、薬剤を用いた実験によって、dopaminergic meso-cortical projectionによるシグナルが皮質脊髄路の可塑性制御に必要であることを示すデータを得た。またdopaminergic meso-cortical projectionが皮質脊髄路ニューロンにシナプスを形成することで、運動野ニューロンの皮質下での可塑性を生み出すことを明らかにした。さらにこの回路の機能を抑制すると、脳挫傷後の運動機能回復が遅延することを見いだした。In vivoにおいて随意運動回路を制御する分子機構を明らかにすることで、成体における神経回路再編成のメカニズムを解明することを到達目標として研究を進めた。皮質脊髄路の可塑性を誘導するメカニズムを強めることで、運動機能障害を効果的に改善させる分子標的を見いだすことを最終目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった「マウス脳障害後の皮質脊髄路の可塑性制御現象の解明」について、その機能およびメカニズムを明らかにする研究が予定通りに進捗した。今後は、さらに研究の範囲を広げ、深めることで、当初の目標に到達したい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を土台として、さらに研究を進めることで、新たな概念の構築に至りたい。また28年度より当初の予定通りに、「皮質脊髄路の可塑性制御メカニズムの統合的解明」および「皮質脊髄路の可塑性を促進する手法の開発」の項目を進める予定である。
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