2015 Fiscal Year Annual Research Report
成体神経新生を利用した障害脳神経回路の機能的再建
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
15H01446
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
坪井 昭夫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20163868)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 脳神経疾患 / 再生医学 / 成体神経新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管障害は、本邦の死亡原因の4位となる極めて発生頻度の高い疾患である。しかしながら、虚血などにより脳組織が損傷した際に、失われたニューロンや神経回路を再生するための有効な再生治療法は未だ確立されていない。
そこで、今年度の研究においては、脳梗塞モデルマウスを用いて、その側脳室や梗塞層に、申請者ら独自に見出した新生ニューロンの発達促進因子(5T4, Npas4など)を遺伝子導入した。そして、脳梗塞マウスにおいて、新生ニューロンの発達を促進し、梗塞部位で失われた神経回路を補填するという“適応回路シフト”を活性化することで、脳神経回路の機能回復を図ろうと考えている。
また、脳梗塞が起こった際、血流が低下しながらも細胞死を免れている梗塞層の周辺領域では、「どのようにして細胞死が抑制されているのか?」が、現在の臨床治療における重要な課題となっている。申請者らはこれ迄に、転写因子Npas4が新生嗅球ニューロンのシナプス形成を促進することを明らかにした(申請者ら、Cell Reports, 8, 843, 2014)。今年度の研究では、梗塞時のマウスの脳内において、Npas4遺伝子がどのように発現しているのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究において、マウスの中大脳動脈(MCA: middle cerebral artery)の閉塞・再灌流後に、大脳皮質や線条体などにおいて、Npas4遺伝子が梗塞部位を囲むように一過性に発現していることを見出した(申請者ら、未発表データ)。大脳皮質の興奮性ニューロンでは、Npas4の下流で神経栄養因子BDNFの発現が誘導されることが知られており(Nature, 455, 1198, 2008)、Npas4は興奮性と抑制性の神経回路のバランスを取る役割を果たすと考えられている(Cell, 157, 1216, 2014)。このような梗塞後のNpas4の発現上昇は、Npas4が梗塞周囲におけるニューロンの生存や、神経回路の再編に関与することを強く示唆していると考えられる。
申請者らは更に、「梗塞層の周辺領域で、どのようにして細胞死が抑制されているのか?」を明らかにするため、Npas4欠損マウスに関して中大脳動脈の閉塞手術を行い、野生型マウスと比較検討している。これ迄のところ、Npas4欠損マウスでは、脳梗塞による症状の悪化が見られている。そこで、梗塞部位やその周囲において、Npas4により発現が制御されることが報告されている遺伝子(BDNF, cFos, Mdm2等)の変化を検討しており、細胞死や運動機能への影響を定量している。また逆に、梗塞部位にNpas4を発現するレンチウイルスを注入して、その発現を促進した場合の効果についても調べている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究を発展させると共に、次年度では以下の解析も行う。 中大脳動脈閉塞手術により脳梗塞を誘発させ、そのマウスの側脳室や梗塞部位にレンチウイルスを注入し、新生ニューロンに発達を促進する遺伝子(5T4, Npas4など)を導入し、以下の2点について検討する。
A)新生ニューロンによる脳梗塞時の神経回路の修復:脳梗塞マウスの側脳室や梗塞部位に、レンチウイルスを用いて遺伝子導入を行う。そして、新生ニューロンの発達を促進する分子を過剰発現させることにより、梗塞部位での新生ニューロンの生存や発達を促進して、失われた神経回路の修復を図る。
B)新生ニューロンによる梗塞した脳の機能回復:「梗塞で損傷した脳の機能が新生ニューロンの作用により回復したか?」を明らかにするため、上記A)で遺伝子導入を行った脳梗塞モデルマウスを用いて行動実験を行い、脳機能の変化を検討する。①脳梗塞により失われた線条体などの運動機能への効果、②新生ニューロンの本来の役割である嗅覚の情報処理に生じる影響について解析を行う。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Evaluation of a filament perforation model for mouse subarachnoid hemorrhage using 7.0 Tesla MRI2016
Author(s)
Muroi C, Kashiwagi Y, Rokugawa T, Tonomura M, Obata A, Nevzati E, Tsuboi A, Okuchi K, Mishima K, Abe K, Fujioka M
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Journal Title
Journal of Clinical Neuroscience
Volume: 28
Pages: 141-147
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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