2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞競合を介したがん幹細胞クローン維持機構
Publicly Offered Research
Project Area | Cell competition: a mechanism for survival of the fittest in the multi-cellular community |
Project/Area Number |
15H01487
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 智聡 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50283619)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | RB / がん抑制遺伝子 / 細胞競合 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がん幹細胞が、クローン数を減らしすぎず増やしすぎずに腫瘍原性の維持に寄与する機構には、ニッチとの関係だけでなく、圧倒的多数を占めると見られる分化したがん細胞との関わりも含まれると考えた。つまり、がん幹細胞は、分化したがん細胞から競合を受けると考えるのである。また、この競合は、がん幹細胞クローンを根絶しない程度に制御もされているはずである。本計画では、前がんあるいは低悪性度病変からoligoclonalに生じる悪性細胞と周辺細胞のステージ特異的な細胞競合関係に着目、がん悪性進展制御の方策を探索する。また、これまでに、我々の乳がん・前立腺がんモデル細胞が幹細胞性を獲得する機序が、細胞内代謝経路のrewiringを介したIL6, CCL2, CCL5, CXCL2等のcytokine/chemokineや種々の脂質メディエーターによる細胞自律的・非細胞自律的な細胞挙動制御を内包することを見出しており、悪性度の異なる細胞間の競合関係においてこれらの分子が果たす役割を探索する。 Trp53-/-;Rbflox/floxマウス、および、これらに由来する乳腺上皮を樹立、Rb遺伝子のステータスによってがん原性・幹細胞性の変化する乳がんモデルを完成した。これらは、様々なタイターのcre recombinase-GFPアデノウイルス感染を行うことによって、悪性度の異なる2群の細胞が接するin vitroおよびin vivoのインターフェースモデルを提供する。また、MCF-7とMCF10A細胞においてモザイク状にRBを不活性化することによって、異なるRBステータスを有する細胞が接する実験系を創出した。従来よく用いられた、正常細胞 vs. de novoトランスフォーム細胞という対比ではなく、比較的生理的なシーケンスで悪性進展の起こるモデルを作製し、この解析に細胞競合の概念と実験手法を持ち込んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MCF-7(luminalタイプ乳がん細胞株)とMCF10A(乳腺上皮細胞株)細胞においてモザイク状にRBを不活性化することによって、RB不活性化細胞がそうでない細胞群から細胞競合を受けることが判明した。MCF-7細胞における細胞競合においては、いわゆるapical extrusionののちにRB不活性化細胞は細胞死の表現型を示した。しかし、apical extrusionされるRB不活性化細胞は全体の40%未満であり、完全には駆逐されない。一方、MCF10Aにおける細胞競合では、apical extrusionはRB不活性化細胞の25%程度であったが、apical extrusionに先行して細胞死が起きている可能性が示された。これらの観察は、トランスフォームした細胞群のなかでRBが不活性化する場合と正常細胞群のなかでRBが不活性化する場合とでは、細胞競合の機構が全く異なることを示唆した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、MCF-7とMCF10A細胞におけるRB不活性化によって誘導される細胞競合様式の違いが生じる機構を探索、RBと細胞競合の関係の生物学的意義を掘り下げて考察する。阻害剤ライブラリーを用いシグナル経路を解析する。従来目指してきた、p53欠損背景の乳腺においてRBをコンディショナルに欠損させるモデルでは、細胞運動が高度であり、二次元での細胞競合を観察することが困難であったが、3次元培養において細胞競合を観察することをめざしている。
|
Research Products
(21 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Undifferentiated state induced by Rb-p53 double inactivation in mouse thyroid neuroendocrine cells and embryonic fibroblasts.2015
Author(s)
Kitajima S, Kohno S, Kondo A, Sasaki N, Nishimoto Y, Li F, Mohammed SA, Muranaka H, Nagatani N, Suzuki M, Kido Y and Takahashi C.
-
Journal Title
Stem Cells
Volume: 33
Pages: 1657-1669
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-