2015 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞における細胞競合機構とその発生学的意義
Publicly Offered Research
Project Area | Cell competition: a mechanism for survival of the fittest in the multi-cellular community |
Project/Area Number |
15H01495
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 洋 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10211939)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞競合 / Hippoシグナル / NIH3T3細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物における細胞競合のしくみとその役割には不明な点が多く、本研究は、細胞競合の分子的基盤とその胚発生における役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、我々が樹立した培養細胞NIH3T3を用いた細胞競合のモデル系を用いて、新規の細胞競合関連遺伝子の検索を行った。Cas9を発現するNIH3T3細胞にゲノムワイドなgRNAレンチウイルスライブラリーを感染させることで、様々な遺伝子に変異を持ったNIH3T3の変異細胞ライブラリーを作成した。ライブラリーを培養し、次世代シークエンサーでgRNAの存在比率の経時的な増減を調べることで、遺伝子変異により勝者・敗者になる遺伝子候補を検索した。次世代シークエンサーの解析はゲノム支援により実施した。Hippo経路に異常を持つ細胞は、細胞競合の勝者になり、時間と共に存在比率の増加が予想されるが、スクリーニングの結果Nf2, Sav1, Amotl2などのHippo経路の遺伝子に対するgRNAの存在比率が顕著に増加しており、本実験系によって細胞競合関連遺伝子の検索が可能であることが示された。時間とともに増加する細胞競合の勝者になる新規遺伝子の候補のリストと、時間と共に減少する敗者になる新規遺伝子の候補のリストが得られた。リストの上位の遺伝子から順に、NIH3T3 細胞において細胞競合への関与を検証したところ、変異により細胞競合の勝者になる遺伝子を 7 個、変異により敗者になる遺伝子を 6 個新たに同定した。さらに、現在、それらの遺伝子について、in vivo での細胞競合への関与を解析するために、遺伝子欠損 ES 細胞を作成し、キメラマウス胚を作製する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は平成27年度中に実施予定であったが、平成27年当初の大阪大学への移動の後、研究で使用するNIH3T3細胞がフリーザーの電源故障事故により失われ研究が中断した。再度、新たな細胞株を入手してその性質の検定し、最適な細胞株の選別を行う必要があり、5か月遅延した。しかし、新規遺伝子を同定し、そのin vivoでの機能解析に着手できており、不慮の事故に起因する実験期間の延長を行ったことを除けば、研究は予定通り進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スクリーニングで得られた新規遺伝子について、遺伝子欠損 ES 細胞を作成し、正常なES細胞とのキメラマウス胚を作製することで、in vivo での細胞競合への関与を解析する。また、関与が認められた遺伝子については、変異マウスの作成などにより、胚発生における役割を明らかにする。
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Research Products
(5 results)