2016 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜幹細胞の老化とそれに基づく着床不全の病態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
15H01517
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 聖子 九州大学, 医学研究院, 教授 (10253527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮内膜 / 幹細胞 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
着床における子宮内膜の幹細胞の果たす役割を解明することを目的とし、マウスやヒト臨床検体を用いて研究を行い下記の成果を得た。網羅的解析(RNA-sequence)は研究領域の技術支援を受けた。 1) マウスモデルを用いた解析 各週齢のC57BL/6マウス(5週・8週・60-75週)及びklotho早老マウスの子宮よりRNAを抽出し、RNA-sequence並びにGene Ontology・Pathway解析を行った。年齢毎に発現が増加あるいは減少する遺伝子群やPathwayを明らかにした。この中で老化マウスとklothoマウスで共通に変化する因子も見出した。 2)臨床検体を用いた解析 同意取得後、不妊治療中の採卵時に採取した子宮内膜検体や血液を用いて、その後の着床率との関連を解析したところ、着床不成功例では成功例に比較し、老化細胞率・p21の発現・細胞周期でのG0/G1期の割合が有意に高かった。また、両者の間で分泌が亢進しているサイトカインの種類に違いが見られた。興味深いことに、幹細胞マーカーの一つであるALDH1の発現はマウスでは老化により減少し、着床不成功例で老化細胞数増加とともに、減少していた。また、SASPに関連することが報告されている複数のサイトカインの発現や分泌が老化マウスや着床不成功例でそれぞれ亢進していた。以上の成果により、老化に伴い子宮内膜幹細胞が減少し、増加する老化細胞から分泌されるサイトカインによるSASPが着床不全の病態に関与することが示唆された。 これらの結果はステムセルエイジングに伴う子宮内膜幹細胞の枯渇・劣化・内膜機能の低下が受精卵の着床を阻害していることを意味しており、がんや神経・筋肉の変性疾患だけではなくステムセルエイジングが引き起こす病態の中に子宮内膜機能低下による着床不全も含まれることを示すことができた。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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