2015 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の柔軟性を生かした抗老化システムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
15H01523
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 健士朗 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60551546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ステムセルエイジングの研究領域に対して、マウス精子幹細胞をモデルとして幹細胞の柔軟性が生かされた抗老化現象を解明し、知られざる組織幹細胞の抗老化システムを提示することを目指すものである。これを達成するため、本年度においては、マウス精子幹細胞の不完全な細胞分裂(不完全な細胞質分裂によって細胞分裂後も各細胞が連結したままとなる精子形成に特徴的な分裂様式)および合胞体(複数の細胞が連結した精子形成に特徴的な構造体)の断片化(細胞間架橋が千切れて合胞体が短くなる現象)の頻度の加齢性変化を明らかにするため、3か月齢マウス精巣と12~24カ月齢マウス精巣を比較解析した。その結果、GFRα1陽性細胞集団におけるAs細胞(単一の細胞)と合胞体の構成比が加齢に伴って変化し、As細胞の比が大きくなることを明らかにした。この結果を既に確立している幹細胞動態モデルに当てはめると、GFRα1陽性細胞は加齢に伴って合胞体の断片化頻度を高くしていることが予測された。この予測について、細胞分裂マーカーおよび細胞系譜追跡実験を利用して実験的に検証した結果、モデルの予測と一致する結果が得られた。以上の結果から、精子幹細胞は加齢に伴って細胞断片化の頻度を変えていることが示唆され、加齢性変化のひとつとして、合胞体の細胞間架橋の不安定化が起こっているという新たな仮説が浮かび上がった。当初の目標のひとつを予定通りに達成したため、これまでの研究は順調に進展していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、分化細胞の脱分化能の加齢変化を明らかにする実験を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)