2015 Fiscal Year Annual Research Report
新生鎖の翻訳およびフォールディングの実時間測定系の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
15H01547
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
渡辺 洋平 甲南大学, 理工学部, 准教授 (40411839)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 新生鎖 / 翻訳速度 / フォールディング / 実時間検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
splitGFPは、GFPのβストランドの1つを欠いた「欠損GFP」とそのストランドの配列を別のタンパク質に融合させた「融合タンパク質」からなり、両者が共存することで、初めて蛍光を発する。本研究の目的の1つは、欠損GFP存在下で、融合タンパク質を合成させることで、新生鎖の合成を、蛍光の上昇として実時間で検出する測定系を構築することである。これまで広く使われていたsplitGFPは、両者を混合してから蛍光を発するまでの時間が非常に長く、そのままでは、この系には使えない。平成27年度は、splitさせるβストランドを変えることで、混合から蛍光発光までの時間が短く、感度の高いsplitGFPを選別することができた。また、蛍光波長の異なる高速反応型splitGFPの作成も試みた。こちらは、まだ十分な蛍光強度もつものが得られていない。 分子シャペロンDnaKは、アンフォールドタンパク質の結合・解離に応答してOpen型、Closed型という2つの大きく異なる構造をとる。平成27度は、これら2つの状態で、距離が大きく変化する位置に、FRETのペアになる蛍光タンパク質を融合させ、アンフォールドタンパク質の検出系の構築を試みた。作成されたタンパク質では、Open型とClosed型で、FRET効率が大きく変化したが、同時に、この効率は、ATPやDnaKの補助因子の影響を強く受けることが明らかになった。この系は、DnaKの分子シャペロンとしての反応サイクルを解明する道具として有効であるが、アンフォールドタンパク質の検出系としては更なる改良が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生鎖の、特定の配列部分の翻訳を、実時間で検出できる実験系を構築した。この系を用いて、翻訳を著しく遅延させる、アレスト配列の効果を評価できることも確認できた。アンフォールドタンパク質の検出はまだできていないが、その基礎となる系を構築することができた。またこの系は、DnaKシャペロンの反応サイクルの解析に有用であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
新生鎖の翻訳速度の測定系に関しては、蛍光波長の異なる別の高速反応型splitGFPを作成し、新生鎖中の特定の2箇所の合成のタイミングを、一度の反応で個別に検出できるようにする。この2箇所の合成のタイミングのずれから、その間の配列部分の合成速度を算出可能にする。 アンフォールドタンパク質の検出系に関しては、DnaKをベースにした検出系を改良し、ATPやDnaKの補助因子の影響を受けにくいものにする。また、他のシャペロンを用いた検出形の構築も並行して進める。
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