2015 Fiscal Year Annual Research Report
身体に根ざした他者視点取得能力の神経機構とその障害
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive Developmental Science; Revealing the Principles of Development from Fetal Period and Systematic Understanding of Developmental Disorders |
Project/Area Number |
15H01585
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
平井 真洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60422375)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 他者視点取得 / 発達 / 身体性 / 脳機能イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,身体感覚,身体操作能力と社会的認知能力を一本の線で繋ぐ,「他者視点取得」能力の発達変化に着目し,その定型・非定型発達メカニズムを解明する.これより,本新学術領域において構築中の「身体に根ざした社会的認知モデル」構築の基盤となるデータを提供し,当該モデルを洗練することを目的とする.「他者視点取得」能力とは,同じ景色を見ていても,他人の見ている景色は自分の見ている景色とは異なることを理解する能力である.これは,社会的コミュニケーションにおいて重要な能力の一つである.これまで,社会的コミュニケーションに困難を抱えるとされる自閉症スペクトラム(ASD)児では視点取得能力が困難であるとする知見が多い.しかしながら,「なぜ」困難であるかについて明らかにされていない.従来の研究は,視点取得を「視覚情報処理」の観点から検討し,「自己身体」が果たす役割について十分考慮していない.本研究計画は,「他者視点取得の困難さは,自己身体座標系への偏りによる」仮説を検証する.本研究は,「身体に根ざした社会認知発達モデル」の構築・洗練を射程とする.このため,身体感覚・身体操作能力と社会認知の関係を直接調べることが可能な「他者視点取得」能力に着目する.特に,乳幼児期から青年前期の定型,非定型発達変化に焦点を絞る.本研究の作業仮説を「ASD児の他者視点取得の困難さは,自己身体座標系への偏りによる」とし,本仮説を検証する.一連の実験を通じて身体感覚の偏りが非定型な社会認知に至るプロセスを解明する.本研究課題において,以下の研究項目を実施している. ①他者視点取得能力と自己視点操作能力の関係の解明 ②自己身体座標系への偏りを解明するための運動学習実験
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的検討として,健常成人を対象にした光トポグラフィー計測研究により,他者視点取得に関連した脳活動指標を確立した.本指標を用いることにより,ASD児における他者視点取得に関連した脳活動計測を進めている.現時点において,28名のASD児を対象とした計測が終了した.さらに統制群として定型発達群データを収集しており,現時点において16名のご参加を頂いている.また,運動学習課題も28名のASD児を対象とした研究が終了し,定型発達児においても16名のご協力が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,定型発達児のデータ収集を継続する.結果をまとめた上で論文として公表する予定である.さらにASD児における自己身体操作能力ならびに自己身体への偏りのメカニズムについてさらに実験を進めることにより明らかにする予定である.
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Research Products
(12 results)