2015 Fiscal Year Annual Research Report
メラニン顆粒を模倣した黒色粒子による艶感制御を伴う単色構造色材料の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative Materials Engineering Based on Biological Diversity |
Project/Area Number |
15H01593
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桑折 道済 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80512376)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メラニン顆粒 / ポリドーパミン / 黒色粒子 / コア-シェル粒子 / 構造色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,鳥類の発色から着想したバイオミメティック構造色材料の開発ならびにインク化への応用を目的としている。孔雀の羽は構造色による色であり,羽に含まれる黒色メラニン顆粒が形成する微細なナノ構造に光があたることで鮮やかな発色が起こっている。我々はこれまでに,メラニン顆粒の前駆体であるアミノ酸ドーパの類似物質「ドーパミン」を原料とし,メラニン顆粒を模倣した単分散な「ポリドーパミン黒色粒子」の作製に成功し,この材料が鮮やかな構造色を発現することを報告してきた。 今年度はまず,インク化への応用を達成する上で大きな課題であった固体状態での視認性の高い構造発色の実現を目指した。ポリドーパミン黒色粒子からなる構造色材料は,粒子黒色度が高いことから個体状態にすると吸収がまさり視認性が非常に低下した。そこで,汎用ラテックスであるポリスチレン粒子をコアとし,ポリドーパミンを薄膜シェル層とするコア-シェル粒子を新たに設計合成した。その結果,ポリドーパミンシェル層の厚みを任意に制御することで粒子黒色度が制御でき,得られる構造色材料の視認性は劇的に向上した。また,ディップコーターを用いることで,積層数を制御した粒子配列方法を行い,積層膜の厚みと構造発色の関係性を導くことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実施計画である,黒色度を制御した粒子合成,固体状態での構造色の高視認化,ならびに配列構造の制御に成功し,構造色を基盤とするインク化へ向けた設計指針を得ることができた。また,実際の鳥類の羽毛の構造発色と,我々が人工的に作製した材料を比較することでより高発色な材料を作製する実験を始められたことから,おおむね当初の計画通りに研究が推移していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロセスの特徴であるメラニン顆粒を模倣した吸収のあるコロイド粒子を基盤とし,より高発色な材料の作製,構造発色後の材料の固定化による発色の維持,微細な範囲での構造色発現手法を確立することで,構造色を基盤とするインク状材料の開発を目指す。 また,作製した材料を用いる自然界での構造発色の具現化と理解を目指し,様々な分野の研究者との連携を目指す。
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Research Products
(28 results)