2015 Fiscal Year Annual Research Report
磁性ナノ粒子を用いた人工繊毛によるメタクロナール波の発現
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative Materials Engineering Based on Biological Diversity |
Project/Area Number |
15H01600
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津守 不二夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10343237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体模倣 / マイクロマシン / 機能性表面 / マイクロアクチュエータ / 磁性粒子 / ソフトアクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
磁性粒子分散シリコーンゴム材料を用い,ミリメートルレベルの繊毛群構造の作製に成功した.ひとつひとつの繊毛が異なる位相で駆動する5×10の配列を作製し,駆動・送液実験を行った.以下に詳細を述べる. まず,硬化前のシリコーン樹脂中シートに磁場を印加することにより,磁性粒子を配向させた.この磁場配向を変化させたものを複数用意することで,繊毛アレイの一本一本に磁気異方性を持たせることができる.得られたシートを重ね合わせ,精密ステージ上で決まった幅に切り出すことで繊毛を作製した.繊毛群をアレイ状に作製するためには,最終的に除去されるスペーサ材料を組み合わせたプロセスを開発した.これにより,縦横で5×10の配列構造を作製できた. 流体的な特性をプランクトンの繊毛レベルに合わせるため,粘性の高いグリセリン中で同等のレイノルズ数となるように調整し,送液実験を行った.粘性流体中で作製した繊毛群は問題なく駆動し,流れを発生させることに成功した.また,駆動周波数を変化させることで流速も変化することを確認した.さらには繊毛の追従性の確認実験を行い,微生物の繊毛運動と同等の15Hz程度の周波数でも十分な変位が発生していることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度は磁性粒子分散シリコーンゴム材料を用い,ミリメートルレベルの繊毛群構造を作製し,駆動・送液実験を行うことを計画し,順調に送液実験までを達成した. まず,硬化前のシリコーン樹脂中シートに磁場を印加することにより,磁性粒子を配向させた.この磁場配向を変化させたものを複数用意することで,繊毛アレイの一本一本に磁気異方性を持たせることができる.得られたシートを重ね合わせ,精密ステージ上で決まった幅に切り出すことで繊毛を作製した.繊毛群をアレイ状に作製するためには,最終的に除去されるスペーサ材料を組み合わせたプロセスを開発した.これにより,縦横で5×10の配列構造を作製できた.流体的な特性をプランクトンの繊毛レベルに合わせるため,粘性の高いグリセリン中で同等のレイノルズ数となるように調整し,送液実験を行った.粘性流体中で作製した繊毛群は問題なく駆動し,流れを発生させることに成功した.また,駆動周波数を変化させることで流速も変化することを確認した.さらには繊毛の追従性の確認実験を行い,微生物の繊毛運動と同等の15Hz程度の周波数でも十分な変位が発生していることが確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度にはミリメートルレベルでの繊毛群においてメタクロナール波を発生させることに成功した.引き続き,小型化と駆動・送液のそれぞれについて,発展した実験を遂行していく. まず,小型化についてである.現状ボトルネックとなっているプロセスは,精密ステージ上においてナイフエッジを用いた切断プロセスである.ゴム系材料は刃物による精密な切断が困難であり,そのため,300μm程度の幅の切断が限界となっている.今後,さらに柔軟性の高い樹脂を利用する場合には,ますます困難となりえる.そこで,3Dプリント技術を利用することを検討する.UV硬化するシリコーンゴム材料での成形予備実験を既に開始しており,この技術をそのまま繊毛作製に適用する予定である. 次に,駆動・送液についてである.メタクロナール波は,繊毛集団を構成する一本一本の繊毛が位相をずらしながら駆動することによって生成する.このメタクロナール波のパターンは,それぞれの繊毛に異なる磁気異方性を付与することにより設計する.今年度はこのメタクロナール波パターンを最適化するために,まずは異なる空間周期での構造を準備し,その送液特性の違いを確認する.また,PIV(Particle Imaging Velocimetry)による流れ場の計測・評価を行う.
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