2015 Fiscal Year Annual Research Report
栄養塩供給と湧昇から迫る新海洋区系:超・高解像度北太平洋物理・生物モデル解析
Publicly Offered Research
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
15H01606
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
見延 庄士郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70219707)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サブメソスケール現象 / 海洋中規模渦 / 栄養塩 / 生物生産 / 湧昇 / 鉛直混合 / 水平移流 |
Outline of Annual Research Achievements |
1/30度格子間隔のサブメソ許容超高解像度モデルと1/10度格子間隔渦解像高解像度モデルとについて,観測データとの比較を行った.両モデルはともに,海洋大循環モデルの上にNPZDタイプの簡易生態系モデルをオンラインで結合させたものである.両モデルとも,北太平洋亜熱帯域で表層の栄養塩濃度およびクロロフィル量が低く,亜寒帯域では高いという観測に見られる全体的な構造は再現していた.観測データと比べて不十分な点は,まず,東岸湧昇域で栄養塩濃度およびクロロフィル量が湧昇に伴って大きくなっている観測の特徴を,両モデルとも過小評価をしていることである.また,亜熱帯域のクロロフィル量は,観測に比べて過大評価となっていた.これらの不十分な点はあるものの,全体的な構造はおおむね再現されていることから,両モデルを用いてサブメソ許容の効果を調べることは妥当であると判断した.さらにモデル間の比較を行い,生物生産の指標として用いる100 m付近の沈降粒子量が,超高解像度モデルの方が高解像度モデルよりも,亜寒帯で大きくなっていることを見出した. また,簡易生態系モデルを結合させた1/10度海洋大循環モデルのデータに対して中規模渦追跡手法を用いて,黒潮続流域南側における中規模渦の生態系への影響の評価を行った.その結果,検証した期間中半分の期間において,領域内の栄養塩の5割程度が中規模渦に伴い存在していることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた結果は,本研究で使用する1/30度超高解像度モデルにおいて,サブメソスケール現象が生物生産に大きな影響を与えること,および1/10度高解像度モデルにおいて,黒潮からの切離渦が亜熱帯の生物生産に重要な役割を果たすことが強く示唆された.これらの結果は,当初計画での予想を裏付けるものであり,本計画はおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究によって,モデル計算結果の空間構造は観測とおおむね一致し,またサブメソスケール許容の超高解像度1/30度モデルと渦解像の高解像度1/10度モデルでは,生物生産に有意な差が生じることが明らかとなった.これらの結果を踏まえ,今年度はこれらの数値モデルを用いて,より高度な解析を実行する.まず,超高解像度と高解像度モデル結果の違いについて詳細な記述を行う.また,両者に生物生産の違いが生じる理由を明らかにするために,超高解像度1/30度モデルの日平均データを用いて,湧昇および混合に着目した解析を行う.ただし1/30度という超高解像度での日平均3次元データは非常に膨大であるので,北太平洋に4つの解析領域を設定し,それぞれの領域で詳しい解析を行う.さらに1/10度モデルのデータに対して中規模渦追跡手法を用いて,黒潮続流域における中規模渦による栄養塩輸送量の定量的な見積もりを行う.なお,当初の申請書には無かったが,本領域に参加し領域研究者との議論等を通じて,近年の日本周辺海域の海水温上昇についての研究でも,本領域に有意義な貢献ができると考えるにいたった.そこでこの研究についても取り組む予定である.
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] The Pacific Decadal Oscillation, Revisited2016
Author(s)
Matthew Newman, Michael A. Alexander, Toby R. Ault, Kim M. Cobb, Clara Deser, Emanuele Di Lorenzo, Nathan J. Mantua, Arthur J. Miller, Shoshiro Minobe, Hisashi Nakamura, Niklas Schneider, Daniel J. Vimont, Adam S. Phillips, James D. Scott2, and Catherine A. Smith
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Journal Title
Journal of Climate
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] The Pacific Decadal Oscillation, revisited2016
Author(s)
Matthew Newman, Arthur Miller, Michael Alexander, Toby Ault, Kim Cobb, Clara Deser, Emanuele Di Lorenzo, Nathan Mantua, Shoshiro Minobe, Hisashi Nakamura, Niklas Schneider, Daniel Vimont, Adam Phillips, Catherine Smith, James Scott
Organizer
2016 Ocean Sciences Meeting
Place of Presentation
ニューオリンズ(米国)
Year and Date
2016-02-23
Int'l Joint Research
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[Presentation] The Pacific decadal oscillation, revisited2015
Author(s)
M. Newman, M. Alexander, T. Ault, K. Cobb, C. Deser, E. DiLorenzo, N. Mantua, A. Miller, S. Minobe, H. Nakamura, N. Schneider, D. Vimont
Organizer
26th IUGG General Assembly 2015
Place of Presentation
プラハ(チェコ)
Year and Date
2015-06-24
Int'l Joint Research
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