2015 Fiscal Year Annual Research Report
海洋法および漁業者の多様性と整合的な高度回遊性魚種の資源管理制度の研究
Publicly Offered Research
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
15H01609
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 漁業者の多様性 / 水産資源管理 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年2月、および4月に沖縄県石垣島白保地区、および宮良地区においてこれらの地区の漁業者を含む住民を対象として、競争性および利他性を計測する経済実験を実施した。データの分析から、(1)利他性の分布については、他の既存研究と大きく変わらないものの比較的prosocialな被験者が多い、(2)集落によって競争を好む程度に有意に違いがある、(3)利他的行動の経験が競争を好む選好に影響を与えている可能性があり、また他のコミュニティーの人に対してより競争を好む可能性が高い、といったことが分かっている。 また、2016年9月7日~9日にかけて、沖縄県宮古島、池間島、および伊良部島において、漁業者、および漁業者の家族を対象として、リスク選好、競争性および利他性を計測する経済実験を実施した。同時に、各被験者に対して漁獲魚種、漁法、漁業の経験、基本的な個人属性に関するアンケート調査を行った。宮古島、池間島、伊良部島それぞれ魚種や漁法などが異なるため、様々なタイプの漁業者から回答を得ることができた。例えば、漁獲魚種・漁法では、モズク養殖、カツオ・マグロ、マチやグルクンなどが挙げられる。これによって高度回遊性魚種を漁獲する漁業者の選好や行動を他の魚種の漁業者と比較分析するためのデータを得ることができた。 さらに、これらの実験・調査と並行して協力ゲームを用いた理論分析を進めた。具体的には、広域を回遊するカツオ漁業を想定し、派生漁場(高緯度海域)では沿岸国のみが操業すると仮定した。そのうえで「主漁場(熱帯域)での漁獲量を抑制することが合意されたと仮定して、その結果獲得できる利潤をどの国にどれだけ分配するか」を考察した。結論として、派生漁場での漁業への配慮に協力してもらう場合に、その派生漁場で操業する漁業国のみが得られる追加的利益を、主漁場での漁業国に分配するような配分が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論分析についてはモデルの構築を終えている。データ取得については、当初予定していた経済実験とアンケート調査を順調に終えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論分析について、論文執筆を行う。また、経済実験については、取得したデータの整理、およびデータを用いた漁業者行動の分析を行う。
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Research Products
(4 results)