2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳波を用いた手首運動に係る脳内身体表現の学理とその可視化
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding brain plasticity on body representations to promote their adaptive functions |
Project/Area Number |
15H01659
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉村 奈津江 東京工業大学, 精密工学研究所, 准教授 (00581315)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋シナジー / 脳波 / 表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動の種類に応じて複数の筋肉が協調して活動する(筋シナジーが存在する)という仮定のもとに、脳がどのように筋シナジーを制御しているかを脳活動信号から調べることを目的として、今年度は第一段階として、筋電信号を用いて筋シナジーを推定する取り組みを主に行った。健常者と片麻痺患者の筋シナジーを推定した結果、両者でシナジーパターンが異なるものが見出され、健常者では同時に活動しない筋肉が片麻痺患者の場合には同時に活性する傾向をシナジー推定から検出することができた。また、同じシナジーパターンであっても、時系列的パターンが異なることも示した(電子情報通信学会にて発表)。運動強度の違いによるシナジー解析を健常者の跳躍タスクについて行ったところ、シナジーパターンはほぼ同じで時系列パターンが異なることを示した(計測自動制御学会にて発表)。 第二段階として、脳活動信号から筋シナジーを捉える取り組みとしては、これまでに確立している脳波から筋活動信号を推定する技術(Yoshimura et al., Neuroimage, 2012)を用いて、足首の屈伸運動に関する筋活動信号の推定を行った(日本神経科学学会にて発表)。この筋活動信号を用いて筋シナジーの推定を行うことで、脳活動信号と筋シナジーとの関係を調べることができると考えている。また、この関係を可視化するための技術を別デーマにて確立し、その成果がFrontiers in Neuroscience のNeuroprosthetics section に採択となった (April 2016, Volume 10, Article 175, pp. 1-15, doi: 10.3389/fnins.2016.00175)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は筋電信号による筋シナジー推定を通して手法を確立することができた。また脳波から筋活動信号の推定法および脳活動信号の可視化技術の確立にも取り組み、次年度で脳活動信号を用いた筋シナジーの推定に取り組む基盤を整えることができたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は脳波および機能的MRIデータを用いて、手や足の運動に関する脳内情報処理過程と筋シナジーの可視化に取り組む。
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