2016 Fiscal Year Annual Research Report
高分子コロイド分散系における動的秩序の発展
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
16H00760
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子微粒子 / コロイド / ゲル / 動的秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学顕微鏡を用いて観察が可能な高分子微粒子を生体物質のモデルと見立て、その機能性高分子微粒子が示す動的な秩序構造を発展させるべく研究を推進してきた。特に、これまでに得てきた高分子微粒子を用い、細胞様の動的秩序を人工構築する事に成功した。まず、自律駆動微粒子を化学反応基質が溶解した反応基質水溶液に分散させ、更に、水とは混和しない油を混合して攪拌を行った。その結果、水油界面へ微粒子が吸着し、油中に安定に分散した微小水滴を形成する事が可能であった。この生成物であるW/O型ピッカリングエマルションは、細胞と同程度のサイズに制御して作成する事が可能であり、光学顕微鏡によって動的な挙動を観察することが可能であった。一連の実験の中で、動的秩序の源である化学振動反応の条件を精査することで、時間周期的な発光挙動(蛍光顕微鏡により観察)、膨潤収縮挙動、変形挙動などの各種細胞に見られる動的秩序を高分子コロイド分散系を更に発展させる事により人工的に創り出すことができた。更に、集積体集団が同期して上述した挙動を示す現象の発現にも成功し、より複雑な動的秩序を人工構築するための重要な知見を得ることができた。 以上の検討を更に発展させるために、これらの高分子微粒子に対する構造制御、すなわち非等方性などの導入も進めてきた。また、領域内の共同研究を通じ、その膨潤状態の可視化を電子顕微鏡によって実現した事や、原子間力顕微鏡により、水中の動的挙動を追跡する事も可能となってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、これまでに開発・報告してきた自律駆動微粒子を活用・発展させることに成功してきたため。特に、微粒子の界面での集積化を通じて、新たに生体細胞と同様の現象である動的秩序の人工構築に成功した。発展としては満足のいく内容であるため、さらに微粒子個々の性質の向上を集中的に行い、人工系だからこそみられるような動的秩序の構築が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
中空集積体を構築する個々の高分子コロイドの構造に更に焦点を当て、集積体を構成する構造が、種々の現象に与える影響・因子を見出すことで、細胞現象に見られる普遍性の理解を深化させる。
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Research Products
(14 results)