2016 Fiscal Year Annual Research Report
人工核酸により発動する細胞様機能の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
16H00762
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神谷 由紀子 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00527947)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工核酸 / DNA / 細胞様機能 / 光応答性 / 人工小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖、タンパク質、核酸といった生体高分子は、可逆的な分子修飾、集合・離散、プロセシングといった分子状態の変容によって、機能のOn/Offをスイッチングする仕組みを有している。したがって、生命システムの中で生体高分子は単独で働いているのではなく、ホモ、あるいはヘテロな相互作用を通じてその後の運命の方向性を決定している。このような分子間相互作用が、細胞機能へと変換される仕組みを理解するための手法の一つとして、生命作動システムを人工的な分子で再構築すること、また、システムを単純化することによって相互作用と機能展開の本質を明らかにすることがあげられる。 平成28年度は細胞内輸送小胞の融合や出芽のシステムにヒントを得て、光応答性DNAを導入したリポソームによる人工系の構築を狙った研究をスタートした。リポソーム間の相互作用を光応答性DNAで制御するために、DNA鎖に導入したコレステロールを介してリポソーム上にDNA鎖を提示した。相補的な配列を持つDNAを提示した2種類のリポソームを調製し、リポソーム間の接着と解離の光応答性を顕微鏡下で観察し、解析を行った。各種DNA配列を設計・合成し、最適なDNA配列の検討を行った結果、最終的に集合したリポソームを光照射に応じて解離させることが可能な系の実現に成功した。 また、光応答性DNAにさらにマレイミドを導入することで、光応答性DNAを膜タンパク質に付加する手法の開発を行い、膜タンパク質の多量化の光制御を行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで開発してきた光応答性DNAを活用し、DNA二重鎖の結合と解離を通じて、マイクロメートルスケールのリポソームの集合状態を光によって制御を行うことができた。また、光応答性DNAの二重鎖形成と解離を通じて、タンパク質の集合状態を光依存的に制御するツールの開発に成功した。光応答性DNAの二重鎖形成と解離のダイナミクスに関して調査した共同研究の成果を学術論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞様機能を実現する人工システムの構築に関して、引き続き光応答性DNAを活用した研究を展開するとともに、人工核酸を導入したDNA、RNAを設計し細胞機能を理解するためのツールとして活用する。具体的には、光応答性人工小胞による物質輸送システム、細胞内での光に応答した遺伝子発現制御の実現、人工小分子RNAの細胞内機能の再現と機能解明を試みる。
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Research Products
(16 results)