2016 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜における曲率形成と膜の形態変化を誘導・制御するペプチドツール
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
16H00763
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膜曲率 / エプシン / Sar1p / ヘリックスペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の分裂や運動、分化、細胞内小胞輸送など、細胞の健全な営みには細胞膜のダイナミックな形態変化が必要である。細胞膜の曲がり具合(曲率、curvature)の誘導原理の理解は、細胞の営みの本質の一端に迫れるのみならず、種々の細胞現象を制御・調節する新しい方法論の開発に結びつく。直接的な膜構造変化の誘導のみならず、膜曲率の変化は膜張力にも影響を与え、細胞内アクチンの構造変化を介した細胞の運動、増殖、分化等の生理的調節・メカノバイオロジー的な研究展開に結びつく可能性も示唆される。従来、曲率誘導は細胞膜の内層と外層の脂質組成の非対称性により生じると考えられてきたが、近年、種々のタンパク質・ペプチドに生体膜に曲率を誘導する機能が備わっていることが明らかとなってきた。研究代表者は、人為的に設計したペプチドを用いての曲率・細胞機能の制御技術(曲率工学)の樹立を目指し研究を進めている。前回の公募研究において、膜構造変形作用が報告されている9種のタンパク質由来のペプチドの曲率誘導能の評価(人工膜・培養細胞系を併用)を行い、細胞内輸送小胞形成に関わるエプシンに加え、Sar1p由来のヘリックスペプチドが著明な曲率誘導能を有することを見出した。今回、これらのペプチドが膜のpacking状態や流動性に大きな影響を与えることを確認するとともに、曲率ペプチドの多量体化による局所相互作用の強化と曲率誘導活性増強、曲率誘導の細胞への作用(細胞膜の形状・張力変化と移動、分裂、細胞内小胞輸送等)等に検討を加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にあるように、エプシン、Sar1pペプチドが膜のpacking状態や流動性に大きな影響を与えることを確認するとともに、曲率ペプチドの多量体化による局所相互作用の強化と曲率誘導活性増強、 曲率誘導の細胞への作用(細胞膜の形状・張力変化と移動、分裂、細胞内小胞輸送等)等に検討を加えている。
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Strategy for Future Research Activity |
継続してより効果的に曲率を生体膜に誘起する方法の開発に取り組みたい。
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