2017 Fiscal Year Annual Research Report
多価カチオン媒介型実効引力に注目した蛋白質溶液の相挙動と動的秩序構造制御機構
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
16H00774
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 良 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60363347)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 同符号電荷間引力 / 相挙動 / 電解質溶液 / 統計力学理論 / 液体の積分方程式理論 / 酸性蛋白質 / 荷電生体分子 / 多価カチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
同符号荷電巨大分子間実効相互作用の理論的研究をおこなってきた。例えば、酸性蛋白質の様な負に帯電したタンパク質分子間にもカチオンを介した強い引力の発生可能性について検討していた。この同符号電荷間の実効引力は電解質濃度が特定の濃度でのみ発生する。それらの性質は、統計力学理論を使うことで再現できていた。 今年度の結果としては、これまでのモデルでは荷電巨大分子の凝集体が大きく成長しないことがわかった事がある。これは、荷電巨大分子が近距離に接している場合には強い引力が働いても、それより遠距離部分で長距離の実効斥力が働くからである。また、その同符号巨大分子の凝集を阻害する要素(長距離実効斥力)を除去した相図の計算結果は、実験で観察されるリエントラントな凝集挙動を示していた。 そこで、モデルの問題点に対して再検討を行った。その結果、現実系では蛋白質表面の負に帯電した解離基が引力パッチであると仮定すると多くの矛盾が解消される事がわかった。同符号巨大分子の凝集を阻害する長距離の実効斥力が、多価カチオンを含む電解質溶液の場合にはクーロン斥力遮蔽能力により除去され、実験で観察される様なリエントラントな凝集挙動が現れると予想される結果を得た。また、この仮定をおけば、多価カチオンのみで実効引力が見られ、従来あった実験と理論計算結果の食い違いも解消する。 これまでの研究結果の論文発表を行いつつ、現在は密度汎関数理論と摂動理論を用いた相図に関する研究結果、および酸性蛋白質表面上の引力パッチ間の実効相互作用に関する積分方程式理論の計算研究結果、さらに、実効相互作用の間接効果への分解によるリエントラント挙動の説明の研究結果を論文にまとめ投稿直前の状態である。また、凝集対の構造を制御するシミュレーションをスタートしようとして準備を進めている。
|
Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(18 results)