2016 Fiscal Year Annual Research Report
固体素子の非平衡揺らぎ・非線形光応答:ナノ光計測による揺らぎ分光イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
16H00798
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 行雄 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90334250)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、物質の光応答における非平衡・非線性現象を対象に、応答の空間構造・周波数スペクトルの解明を目的とする。具体的には、ナノスケールの局所的な光照射分光システムを構築し、材料・デバイスの光応答における非平衡ダイナミクスの探求に応用する。領域内に非平衡統計力学の理論や化学・生物など、様々なバックグラウンドを持つ研究者が集結しているため、固体物理・デバイスにとどまらず、共同研究の積極的な展開を目指す。 当該年度は、光応答の周波数・空間分解イメージング法の開発を行った。ナノメータの曲率半径を持つ微小プローブと、ブロードバンド光源による光干渉系とを組み合わせることで、光照射に対する物質の非平衡状態の周波数スペクトルならびに空間イメージングを行うシステムを構築した。測定対象として、まず剥離グラフェンを用いた。光応答の強度や位相がグラフェンの層数によって顕著に異なり、空間マッピングの画像上で明確な明暗として現れることを見い出した。これにより、グラフェンの電子・光物性に大きな影響を与える層数をナノスケールで特定することが可能となった。また、微細加工を用いてプラズモニック構造を作製した。構造のパターンから予想される周波数帯におけるプラズモン共鳴とそのダイナミクスを観測することができた。 以上から、当初の目的である、ナノスケールの局所的な光照射システムの構築ならびに動作確認と、物質の光応答への応用を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は、ナノスケールの局所的な光照射分光システムの構築であった。微小プローブと光干渉系の組み合わせから、実際にシステムが出来上がった。剥離グラフェンやプラズモニック構造を測定対象として、システムの動作を確認した。したがって、研究は順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本システムによる非平衡現象の探求を様々な系に応用していく。特に異分野への展開・共同研究を行う。
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Research Products
(10 results)