2016 Fiscal Year Annual Research Report
冷却原子を用いた非平衡孤立量子系の制御と前期熱化の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
16H00801
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 洋介 京都大学, 理学研究科, 助教 (50456844)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 量子シミュレーション / 冷却原子 / ボースハバード模型 / 量子多体系 / 非平衡統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボース凝縮した光格子中イッテルビウム174Yb原子に対して、原子が局在した状態からホッピングを急に可能にしたのちの応答を実験的に探索した。この系は、ボースハバードモデルに相当する。本研究では、光格子の原子に対して、光格子のポテンシャルを急にさげることで、局在した状態から原子が様々に移りまわれるように変化させた。観測量は、飛行時間法を用いた吸収イメージ法による光格子擬運動量分布の測定、および1S0-3P2遷移を用いた高分解能分光などによる原子相関である。観測されたこれらの量の時間発展から、熱平衡化の過程や、平衡値を実験的に算出した。また、この擬運動量分布、および原子数相関の期待値から、ボースハバードモデルにおけるハミルトニアンの各項のアンサンブル期待値も計算できた。原子のホッピング時間程度での運動エネルギー・相互作用エネルギーの再分配を観測することができた、この和はほぼ一定であった。これは、光格子ポテンシャルを下げた後の時間発展において、運動量項と相互作用項の和がエネルギー保存則を満たしていることを示している。また、同時に我々の考えた、飛行時間法を用いた吸収イメージ法による光格子擬運動量分布の測定、および1S0-3P2遷移を用いた高分解能分光などによる原子相関による方法が正しい観測方法であることも示している。また、光格子の最終深さを変えることにより、相互作用の大きさを変化させて測定した。加えて、これらの測定を、光格子のポテンシャルをある次元方向のみ変化させるような次元性を変えて測定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
飛行時間法を用いた吸収イメージ法による光格子擬運動量分布の測定、および1S0-3P2遷移を用いた高分解能分光などによる原子相関の測定に成功した。また、この擬運動量分布、および原子数相関の期待値から、ボースハバードモデルにおけるハミルトニアンの各項のアンサンブル期待値も計算できた。その結果、この和はほぼ一定であった。これは、光格子ポテンシャルを下げた後の時間発展において、運動量項と相互作用項の和がエネルギー保存則を満たしていることを示している。また、同時に我々の考えた、飛行時間法を用いた吸収イメージ法による光格子擬運動量分布の測定、および1S0-3P2遷移を用いた高分解能分光などによる原子相関による方法が正しい観測方法であることも示している。以上のように、当初の研究計画通りに遂行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ごく最近に、近距離の非局所的相関の値を測定することに成功したので、相関の空間的広がりや熱平衡化などを系統的に測定していく。今後は我々が初めて確立した運動エネルギー・相互作用エネルギーの直接測定を通して、非平衡ダイナミクスや前期熱化の観測に向けた研究を進めていきたいと考えている。さらに、また、光格子のクエンチ以外の操作によるダイナミクスの観測も行っていきたい。
|
Research Products
(4 results)