2016 Fiscal Year Annual Research Report
ゆらぎを伴う細胞内情報伝達機構の統合的理解
Publicly Offered Research
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
16H00803
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石島 秋彦 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80301216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌における情報伝達におけるアウトプットはモーターの回転方向の転換である.しかし,このアウトプット自体が細胞の情報伝達そのものに影響を与えているのではないか,という報告がいくつかなされている.当研究室の先行研究でもモーターにかかる負荷により細胞内情報伝達に影響を与えていることを示唆する結果がある.そこで,回転自体を回転電場を与えることにより制御させることで,細胞内の情報伝達における分子のゆらぎ状態の変化によるフィードバック機構を明らかにする.回転電場により積極的に外部からの力学刺激を加えることにより,モーター基部体へのシグナル分子の結合数の変化などを捉える.モーターのCW,CCW 回転の持続時間の負荷依存性,強制回転中のモーター基部体へのシグナル分子の結合・解離の変化,モーター基部体へのシグナル分子の結合・解離の変化と負荷との関連性,を探ためのシステム開発を行った.まず,細胞の位置決めシステムの開発も合わせて行った.タングステン電極を用いた電場発生システムの構築のための,微細加工電極の作成,4本の電極の位置決めシステムの構築,などをくみ上げた.このシステムを用いて電極の位置,電圧,周波数などが発生トルクにどう影響するかの検証を行った.また,菌体ごとに大きさが異なるために,サイズを考慮した粘性抵抗係数を推定し,回転速度と発生トルクとの関係を検討した.その結果,従来報告されていたように,発生トルクは電場の二乗に比例することが確認できた.このことにより,菌体に任意のトルクを与えることが可能となった.まだ目標である任意の回転速度を与えるところまで入っていないが,随時計算式に当てはめることにより,可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マスクによる電場系の構築においては,Z方向の力が問題となる.菌体自体がZ方向に変位すると,後に導入するエバネッセント照明系において励起強度が変わってしまうため,定量的な解析が困難となる.タングステン電極による電場系の構築が望ましいが,効率のよい実験のためにもマスクによる電場系も引き続き行う.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,電極の距離依存性,印加電圧との関係など基礎データを収集し,最適な回転速度を与えるシステムを構築する.また発生トルクが一定でも菌体ごとに回転周波数が異なってしまうため,菌体のサイズをオンタイムで取得し,最適なトルクを与えられるようなシステムの構築も検討している.今後は,このシステムに蛍光イメージングシステムを融合し,強制回転とモーター基部体への蛍光融合タンパク質の結合・解離とのイメージングの同時計測を構築させていきたい.
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