2016 Fiscal Year Annual Research Report
New approach to nonequilibrium physics with gauge/gravity correspondence
Publicly Offered Research
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
16H00810
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 真 中央大学, 理工学部, 教授 (00360610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | AdS/CFT対応 / ゲージ・重力対応 / 非平衡定常状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲージ・重力対応におけるくりこみ処方の不定性の問題、定常状態熱力学における自由エネルギ―の凸性の問題について研究を行い、予備的な結果を得た。ゲージ・重力対応における非平衡定常状態の記述では、場の理論側の紫外発散は重力理論側での古典的な計算の発散として再現されるため、場の理論同様に適切にくりこむ必要がある。しかし、外部電場等を印加した際に生じる紫外発散のくりこみに関して任意性が生じ、その任意性の固定方法が定かではないという問題があった。本研究では、このくりこみ処方について重力理論の整合性の観点から考察し、処方の任意性を固定するための方法を考案した。現在、さまざまな計算において、このくりこみ処方の妥当性を検証している。特に重力理論側の古典力学の観点や、古典力学における変分原理や力学的な自由度の分類の観点から自然なくりこみ処方となっていなければならない。また様々な状況において統一的に用いることができる処方でなくてはならない。これらの観点からくりこみ処方の検討を進め、具体的な処方の方向性を得ることができた。またこの他にも、佐々・田崎の定常状態熱力学にて提唱されている巨視的物理量の間の関係性についても調べた。具体的には、定常状態の電流方向の圧力Pは変数Jについて下に凸となることが予想されているが、本研究では非線形領域において非平衡定常状態の電流方向の圧力を電流の関数として系統的に解析した。これらの成果についても近日中に出版できるよう準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲージ・重力対応において非平衡定常状態を解析する際に、系を非平衡にドライブするために外部電場を印加した状況を設定する。この設定において外部電場に関連した紫外発散が生じるため、この発散をくりこむ必要があるが、このくりこみの処方に不定性が残るという問題があった。通常、くりこみは実験データと整合するように決定するが、本研究では、実験データとの比較を行う以前の段階において、この処方を決定する必要がある。このため基本的な物理的要請によりくりこみ処方を固定する考察を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
系を非平衡にドライブするために加える電場は外部電場であるが、くりこみの処方によっては、あたかもこの電場が力学的自由度であるかのうように振る舞ってしまう。そこで、電場を矛盾なく外部電場として扱えるための条件により、くりこみ処方を固定できるのではないかと考えている。現在は、このくりこみ処方の妥当性を検討している。特に重力理論側において古典力学の整合性の観点から検証を進めることで、このくりこみの問題に決着をつけることができると考えている。
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Research Products
(2 results)