2016 Fiscal Year Annual Research Report
柔らかな分子のゆらぎと外場応答:非平衡統計力学関係式の応用
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
16H00819
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 久美子 東北大学, 工学研究科, 助教 (00585979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゆらぎ / 分子モーター |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質は代表的な柔らかな分子の一つである。熱ゆらぎの中でゆらぎながらも効率よく機能を発揮する分子機械である。私たちは細胞内で、微小管に沿って細胞小器官を輸送するタンパク質モーターキネシン・ダイニンのゆらぐ運動に注目してその運動メカニズムを研究した。柔らかな分子の特徴であるゆらぎから、どのような情報が得られるかを研究した。物理学では、ゆらぎはエネルギーや力と関連する。私たちはタンパク質モーターに輸送される細胞小器官のゆらぎから細胞小器官にかかる力を計測した。
揺動散逸定理では相関関数(ゆらぎ)と応答関数は比例する。(比例係数は環境の温度である。)ここで、応答関数は外場に対する系の応答を示す。これまでゆらぎをpassiveに観察してきたが、本研究では系に摂動を加え、その応答を観察することから細胞小器官輸送のメカニズムを探ろうとした。
具体的には、磁気ビーズを細胞に取り込み細胞小器官に代わって、磁気ビーズをタンパク質モーターに輸送させる計画である。輸送中の磁気ビーズに電磁石を用いて力を加え、摂動力を加える。その応答と上記のゆらぎを用いて計測した力の関係を調べる。本年度、磁気ビーズを細胞に取り込む実験を行なったところ、100um程度の小さいビーズしか取り込めなかった。一方で、電磁石で十分な力を加えるためには1um程度の磁気ビーズを導入する必要がある。本年度は、大きな磁気ビーズを細胞内に取り組む方法を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞小器官に代わって磁気ビーズを導入しタンパク質モーターに輸送させる必要があるが、磁気ビーズの細胞内への導入が上手くいっていない。大きな磁気ビーズを細胞内に導入する方法を開発する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質モーターによる輸送で、電磁石を用いて外場を加える計画であったが磁気ビーズの細胞内への取り組みが上手くいっていない。そのため、本年度は光操作を用いて系に摂動を加える実験も並行して行いたい。
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