2017 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポータ分子の柔らかさが鍵を握る多剤認識メカニズムの解明と阻害剤設計の基礎
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
16H00825
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 実 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 教授 (50162342)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多剤認識 / トランスポーター / 分子シミュレーション / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
多剤耐性発現に関わる多剤認識タンパク質は一対多の非基質特異性を持つ。そのメカニズムとしては、1)基質結合サイトが柔軟に構造変化することで多様な薬剤分子をエントロピー支配的に認識する、2)形状の異なる多数の基質結合サイトがありエンタルピー支配的に認識する、場合が考えられる。 NMRやITC実験から、乳酸菌の一種であるLactococcus lactisがもつ転写因子LmrRは前者のメカニズム、Stapylococcus aureusの転写因子QacRは後者のメカニズムに従っていると考えられている。本研究では、計算化学シミュレーションにより、これらの違いを半定量的に再現することに成功した。 本研究では、これらタンパク質と基質との結合自由エネルギーは分子力学(MM)計算レベルの“エンドポイント”法を用いて評価した。すなわち、タンパク質や基質あるいはそれらの複合体平均内部(構造)エネルギーはMD計算で、水和自由エネルギーはMM/3D-RISM計算法で評価した。水和エントロピーや構造エントロピーについては、それぞれ種々の方法を比較検討した。 その結果、LmrRでは基質の結合に伴い分子内の揺らぎが増大するという通常のホスト-ゲスト系とは対照的な変化が起こり、構造エントロピー利得が最大-10 (kcal/mol)程度に達した。これと排除体積効果に基づく水和エントロピーの増大とあわせて、全体がエントロピー支配であることが判明した。また、基質分子種に関わらず共通して揺らぎが増大した部位を調べた結果、薬剤分子と直接相互作用する部位のみならず、薬剤分子から距離的に離れたDNA結合サイトにおいてもアロステリックに揺らぎの増加が起こっていた。対照的に、QacRでは、基質結合に伴って構造エントロピーが減少し、これは水和エントロピーでは補償できず、エンタルピー支配となった。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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