2016 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Photoresponsive Organic Ferroelectrics with Strong Correlation between Proton Transfer and Photoisomerization Reactions
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
16H00851
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
森本 正和 立教大学, 理学部, 准教授 (70447126)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 超分子化学 / 分子性固体 / 誘電体物性 / フォトクロミズム / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
外部刺激に柔軟に応答する柔らかな分子系における新現象・新機能の発掘に関する研究として、フォトクロミック分子の光異性化反応により強誘電物性を可逆的に変化させる有機分子結晶を創出することを目的としている。誘電物性の光制御に向けて、水素結合性フォトクロミック分子の結晶構造とフォトクロミズムについて検討した。また、ベンゾホスホールオキシドを有するキラルフォトクロミック分子の立体選択的光反応を見出した。 分子間プロトン移動に起因する誘電物性を光により制御することを目指して、水素結合性イミダゾールを有するフォトクロミック分子を合成した。これらの誘導体は溶液中および単結晶中においてフォトクロミズムを示した。アリール部位としてチアゾールを有する誘導体は、チオフェンを有する誘導体よりも着色異性体の熱安定性が高いことが分かった。また、結晶中においてイミダゾールの分子間水素結合により一次元鎖構造を形成した。1つの誘導体では、水素結合に関与する窒素原子の中点に対称要素が存在し分子間プロトン移動前後の構造が結晶学的に等価であるため、プロトン移動が可能であるのに対して、別の誘導体では、窒素原子の中点に対称要素が存在せず分子間プロトン移動前後の構造が非等価であるため、プロトン移動できないことが示唆された。結晶構造と誘電物性の相関を明らかにするための比較となる分子結晶が得られた。 キラリティーを反映した機能を発現し得る骨格として、ベンゾホスホールオキシドを有するフォトクロミック分子を合成した。この分子は、紫外光の照射により着色異性体の一方のジアステレオマーを優先的に生成し、また照射時間によってジアステレオマーの選択性が逆転する現象を見出した。光反応挙動を解析した結果、この現象は、ベンゾホスホールオキシドのキラルな立体構造を反映してジアステレオマー間で光反応量子収率が異なるために起こることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水素結合性フォトクロミック分子の合成についてはおおむね問題なく進行し、種々の置換基を有する誘導体を合成することができた。その結晶構造解析を行った結果、結晶構造の対称性が互いに異なる分子結晶が得られたことは、結晶構造と誘電物性の相関を明らかにする上で重要である。水素結合性フォトクロミック分子のアリール部位としてチアゾールを導入することが着色異性体の熱安定性の向上に寄与することを見出し、この知見は室温での光制御を目指す上で有効と考えられる。また、ベンゾホスホールオキシドを有するフォトクロミック分子を新規に合成し、そのキラリティーを反映した機能創出という新たな研究展開も生まれつつある。よって、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き置換基を変更した水素結合性フォトクロミック分子を合成しながら、その結晶構造と電気物性・光反応挙動との相関を検討することで、誘電物性とフォトクロミック反応性を併せもつ分子結晶を探索する。合成した分子結晶について、光の照射によるフォトクロミズムと誘電物性の変化を検討する。顕微分光測定を行うことで光反応の進行と水素結合状態の変化に関する情報を取得し、それらと誘電物性の変化との相関を精査する。得られた知見を新たな分子設計へとフィードバックして機能改善を行い、最終的には室温における熱的に安定で可逆な光制御を目指す。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Photoinduced topographical changes on microcrystalline surfaces of diarylethenes2016
Author(s)
Noriko Fujinaga, Naoki Nishikawa, Ryo Nishimura, Kengo Hyodo, Seiji Yamazoe, Yuko Kojima, Kazuki Yamamoto, Tsuyoshi Tsujioka, Masakazu Morimoto, Satoshi Yokojima, Shinichiro Nakamura, Kingo Uchida
-
Journal Title
CrystEngComm
Volume: 18
Pages: 7229-7235
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Turn-on mode fluorescence photoswitching of diarylethene single crystals2016
Author(s)
Masakazu Morimoto, Ryota Kashihara, Katsuya Mutoh, Yoichi Kobayashi, Jiro Abe, Hikaru Sotome, Syoji Ito, Hiroshi Miyasaka, Masahiro Irie
Organizer
International Symposium on Photochromism 2016 (ISOP 2016)
Place of Presentation
East China University of Science and Technology (ECUST), Shanghai, China
Year and Date
2016-11-04 – 2016-11-07
Int'l Joint Research
-
-