2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reaction Dynamics on the Liquid/Solid "Soft" Interface
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
16H00852
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
山方 啓 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60321915)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時間分解分光測定 / 固液界面 / 光電極反応 / 酸化チタン / 光触媒 / 光励起キャリアー / 再結合過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体を用いた光電極は、バイアス電圧を印加することで光励起電子と正孔を分離できるので、還元生成物と酸化生成物を分離することが容易である。しかも、その反応効率も向上させることができる。したがって、光電極表面における化学反応を理解するためにはバイアスを印加した条件における光励起キャリアーの挙動を理解する必要がある。そこで本研究では、TiO2薄膜電極を用い、これに紫外光レーザーパルスを照射して生成した光励起キャリアーの挙動を調べた。 TiO2光電極に電位を印加し、マイクロ秒時間分解可視近赤外中赤外分光法を用いて光励起キャリアーの挙動を調べた。その結果、18000 cm-1と9800 cm-1, 4000 cm-1以下に吸収が観測され、これらはTiO2のバンドギャップを紫外光で励起することによって生成した正孔とトラップ電子、自由電子に帰属されることが分かった。次に、これらの吸収強度の減衰過程を調べたところ、トラップ電子の吸収強度はバイアス電圧を印加してもそれほど変化しないが、自由電子と正孔の吸収強度は0 Vから1 Vに正電位を印加することで大きくなり、その減衰速度も遅くなった。これらの結果は、TiO2電極に正電位を印加することで電荷分離がより促進されることを意味している。 一方、TiO2のバンドギャップを励起すると、3200 cm-1の水に帰属される吸収強度が小さくなった。そして、その減少量は正電位を印加することでより大きくなった。TiO2電極の場合、正電位を印加すると表面で水の酸化反応が進行する。したがって、水の吸収強度の減少は、光励起キャリアーによって水分子の構造が変化したか、あるいは水の酸化反応が進行していることを示唆している。そこで、次年度は、時間分解赤外分光法を用いてこの水の構造変化について詳しく調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はATRプリズムの反射面にFTOなどの導電性薄膜を自分で堆積し、その上に酸化チタン薄膜電極を調製することが可能になった。その結果、酸化チタン電極を光で励起した際に起こる界面の水の構造変化を時間分解赤外分光測定することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
ATRプリズム上に調製した酸化チタン薄膜電極のバンドギャップを励起すると、光励起キャリアーの生成に伴って水の構造が変化することが分かった。しかし、水分子は水素結合で結ばれており、赤外域にブロードな吸収を与えるので、スペクトル変化の解釈はまだ難しい。そこで来年度は重水や有機溶媒などを用いて水の構造変化をより詳細に調べる予定である。
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