2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of Stereoselsctivity of Flexible Catalytic Reaction Systems
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
16H00853
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
畑中 美穂 奈良先端科学技術大学院大学, 研究推進機構, 特任准教授 (80616011)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自動反応経路探索 / 不斉触媒 / 人工力誘起反応法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、酵素を模倣して設計された亜鉛錯体を触媒とする不斉アルドール反応に着目した。多くの不斉触媒は不斉点近傍にかさ高い置換基を持ち、その置換基が基質の接近方向を制御することで立体選択性が発現するとされている。しかし、本触媒の場合、不斉点近傍の置換基がメチル基やエチル基のような小さなものでも、高い立体選択性が発現するという特徴がある。また、配位子の中でも亜鉛を取り囲む12員環の部分を15員環に変えることで、立体選択性がほとんど消失することも報告されているが、その機構は明らかになっていない。そこで、本触媒系の立体選択性発現機構を明らかにするため、自動反応経路探索(GRRM)を用いる解析を行った。 まず、亜鉛錯体の構造を調べるため、GRRMの一つである非調和下方歪追跡法を用いたコンフォメーションの探索を行ったところ、本錯体は非常に柔らかな構造を持ち、複数のコンフォマーが共存していることが分かった。また、多数のコンフォメーションが存在する理由が、配位子の12員環に対して亜鉛のイオン半径が小さ過ぎることにあると分かった。 得られたコンフォマーのうち、特に安定な4つの構造を触媒とした反応経路の探索を、GRRMのもう一つの方法、人工力誘起反応法を用いて行った。特に、立体選択性を決める炭素―炭素結合生成段階の遷移状態に着目し、網羅的に探索したところ、亜鉛錯体の配位子は基質の接近方向をほとんど制御しないが、基質の接近方向によって異なる水素結合を形成するために、遷移状態のエネルギーに差が生じ、一方の立体異性体のみが生成されやすくなっていることが分かった。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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