2016 Fiscal Year Annual Research Report
スカラーセクターとフレーバー構造から探るニュートリノ質量起源
Publicly Offered Research
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
16H00864
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
青木 真由美 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (70425601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノ質量を生成する機構として、ループレベルで質量を説明する輻射シーソー機構が近年活発に議論され、多くの模型が提案されている。様々な検証方法によってこれらの模型のうちどの模型が確からしいかを選別していくことは、今後の重要な課題であると考えられる。本研究では、模型に含まれる新しいスカラー粒子の湯川相互作用行列に注目し、模型の選別方法の可能性を議論した。 標準模型の粒子に加えてSU(2)_L一重項や二重項、三重項のスカラー粒子を含むニュートリノ質量生成機構は、スカラー粒子の湯川相互作用行列の構造によって、ニュートリノがマヨラナ粒子の場合は8つ、ディラック粒子の場合は18の機構にそれぞれ分類される。本研究では、各機構に対して、レプトンフレーバーを破る荷電レプトンの崩壊(cLFV崩壊)とレプトンフレーバーを破るヒッグス粒子の崩壊(hLFV崩壊)を議論した。もしこれらの過程が実験によって測定されれば、それは標準模型を超える新物理の存在を示すものである。hLFV崩壊 (h→μτ) の分岐比は、LHCでは将来的に0.01%の感度で測定が可能だと期待されている。これに加えてcLFV崩壊実験からの制限を考慮した結果、我々は、LHCでhLFV崩壊が観測されたならば、分類した模型のうち、マヨラナニュートリノ質量を生成する模型は全て棄却されることを示した。また、ディラックニュートリノ質量を生成する模型に関しても、その多くが棄却されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を論文にまとめ、日本物理学会や研究会において研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに提案されている具体的なニュートリノ質量生成模型を用いて、そのスカラー構造とフレーバー構造から模型の検証を行っていく。
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