2016 Fiscal Year Annual Research Report
セルフトリガー可能な24Na線源開発とCaF2検出器の低バックグラウンド化
Publicly Offered Research
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
16H00870
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯田 崇史 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (40722905)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 較正線源開発 / ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
CANDLESは48Caを用いた二重ベータ崩壊探索実験である。全ての二重ベータ崩壊核中で最大のQ値を生かして、低バックグラウンド環境下での測定が可能となる。本研究では最後に残っている主要バックグラウンドとして、208Tlの崩壊でベータ線とガンマ線が別々の結晶を光らせるマルチヒット事象の理解・低減に取り組む。またそのために、Q値に近い2本のガンマ線を放出する24Naを含むNaI(Tl)結晶を作成し、「セルフトリガー可能な24Na線源」を開発する。その2本のガンマ線を用いてCANDLES内部で擬似マルチヒットを作り出し、その詳細をスタディする。 初年度はNaI(Tl)シンチレータに252Cf中性子線源を照射することで、24Naを含むNaI結晶の作成を行った。その24Naを含む放射化したNaI検出器と通常のNaI検出器を並べ、放射化したNaIでは24Naのベータ線でトリガーをかけ、通常のNaIでは直後に出る2本のガンマ線を捉えるというセットアップを組んだ。2つのNaIの同時計数を取ることによって、非常に綺麗な2本のガンマ線ピークを得ることに成功した。 また2年目に実際にCANDLES装置でデータ取得することを見据え、線源をCANDLES装置内へ導入し設置するための機構を開発した。さらに本番では24Naの強度をより高める必要があることをシミュレーションにより明らかにし、それを達成するために強い強度の252Cf線源を入手するとともに周囲に中性子反射材としてグラファイトを設置することでより効率よくNaIを放射化するセットアップをデザインした。2年目はこのセットアップを全て神岡に移送し、実際に現地で放射化したNaIをCANDLES検出器内部に入れてデータ取得を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は当初の予定通り、CANDLES装置の外部で実験セットアップを組み、R&Dを行った。それによってベータ線とガンマ線の同時計数による偶発事象低減の原理検証を行い、2本のガンマ線のピークを非常に低いバックグラウンドで測定することが出来た。この外部実験の結果とモンテカルロシミュレーションの結果を元に、本番のCANDLES装置内部でのデータ取得に必要な線源強度を計算し、それを達成しうる中性子線源の購入、そしてグラファイトによる放射化セットアップの効率化を行った。さらに本番実験で必要となる、放射化NaIをCANDLES装置内部へ導入設置するための機構もデザイン・開発した。これにより2年目に予定されていた本番実験に向けて準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はCANDLES実験で24Na線源のデータ取得を行い、そのデータをもとにマルチヒット事象の詳細なスタディを行う予定である。 まずは外部で組み立てた放射化のセットアップなどをCANDLES装置のある神岡に送る。実際に放射化したNaIを現地で作り上げ、CANDLES装置内部に導入する。NaIとCANDLESのタイミングやゲインを合わせた後、実際にデータ取得を行う。得られたデータからマルチヒット事象とシングルヒット事象を取り出し詳細に解析する。それによってマルチヒット事象を取り除くための解析手法を確立し、実データに適用することで低バックグラウンドを実現する。得られた結果を論文としてまとめる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Status and future prospect of 48Ca double beta decay search in CANDLES2016
Author(s)
T Iida, K Nakajima, S Ajimura, T Batpurev, W M Chan, K Fushimi, R Hazama, H Kakubata, B T Khai, T Kishimoto, X Li, T Maeda, A Masuda, K Matsuoka, K Morishita, N Nakatani, M Nomachi, S Noshiro, I Ogawa, T Ohata, H Osumi, K Suzuki, Y Tamagawa, K Tesuno, V T T Trang, T Uehara, S Umehara and S Yoshida
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Journal Title
Journal of Physics: Conference Series
Volume: 718
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The CANDLES experiment for the study of Ca-48 double beta decay2016
Author(s)
T. Iida, T. Kishimoto, M. Nomachi, S. Ajimura, S. Umehara, K. NThe CANDLES experiment for the study of Ca-48 double beta decayakajima, K. Ichimura, S. Yoshida,,, (全34人中1番目)
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Journal Title
Nuclear and Particle Physics Proceedings
Volume: 273 - 275
Pages: 2633 - 2635
DOI
Open Access
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