2016 Fiscal Year Annual Research Report
蛍石構造酸化物のアニオン制御による“直接特性制御型強誘電体”の創成
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
16H00882
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟窪 浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90219080)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍石構造(酸化物) / アニオン制御 / 直接制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は、蛍石構造酸化物のアニオンサイトの設計およびその操作によって、特性を直接制御できるまったく新しい強誘電体を作製することを目的とする。従来のぺロブスカイト構造型強誘電体では、アニオン置換すると絶縁性の維持が困難なため、カチオンの制御によってアニオンネットワークが作る結晶の骨格構造を制御することで強誘電特性を制御する “間接制御”しかできていなかった。本研究によって、蛍石構造酸化物では、特性を支配するアニオンサイトを直接制御することによって特性を直接制御できる可能性がある。本申請は、研究代表者が世界に先駆けて作製したエピタキシャル膜の成果に基づいている。本年度は以下の成果を得た。 1)アニオンを導入するための製膜法を検討した。その結果、基板温度を上げて直接結晶化した膜を得ても、室温合成後の熱処理で結晶化させてもほぼ同じ強誘電性を持つ薄膜が作製できることを確認した。この結果から、アニオン置換した膜も両方のプロセスで作製を検討できることが明らかになった。 2)Y2O3-HfO2とHfO2-ZrO2の組成について、強誘電相の安定性をエピタキシャル膜を用いて比較した。その結果、HfO2-ZrO2ではY2O3-HfO2より薄膜の領域でしか強誘電相が確認できなかった。この結果は、組成によって強誘電相が安定な膜厚が異なることを示唆するデータである。アニオン置換した組成についても、十分な考慮が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アニオン置換する前の強誘電相の安定性については十分な知見が得られており、当初行う予定であった、高圧合成等に多くの時間を割かなくても研究が進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
活性窒素を導入できる製膜装置の用意ができたので、積極的に新規組成探索を推進していく。また、得られた膜の評価も行っていく。
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Research Products
(11 results)