2016 Fiscal Year Annual Research Report
構造設計に基づく新構造型の酸化物イオン伝導体開発
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
16H00884
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 孝太郎 東京工業大学, 理学院, 助教 (30635123)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化物イオン伝導体 / 結晶構造解析 / 構造設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,酸化物イオン伝導に適した結晶構造の設計により,新構造型の酸化物イオン伝導体を開発することを目的としている.また,既存の新構造に属する酸化物イオン伝導体について,材料の改変を行うことで酸化物イオン伝導度の向上を目指し,さらにイオン伝導のメカニズムを結晶構造解析法に基づき解明することで,より戦略的な酸化物イオン伝導体の開発を進める. 本年度は,2014年に発見したこれまでに報告のない構造に属する酸化物イオン伝導性材料NdBaInO4について,Nd/Ba比を変化させ,イオン伝導度を向上させることに成功した.NdBaInO4は一般組成ABCO4(ここでA,B,Cは異なるサイズ・元素の陽イオン)で記述される材料で,新しい構造型・新しい物質であることから,元素置換等による材料の改変によりイオン伝導度がどのように変化するのかなど明らかになっていないことが多い.そこで,NdBaInO4の元素置換を行い,酸化物イオン伝導度の変化・構造の変化を調べることで,この構造型への理解と,次の構造設計への戦略をたてるための知見を得ることを目指した.Nd/Ba比を変化させたところ,酸化物イオン伝導度が大幅に向上したため,単結晶X線回折法および粉末中性子回折法の相補利用により,過剰なBaが実際にNdの位置に占有していることを実証し,酸化物イオン伝導度が向上した構造的要因を明らかにすることができた.他にも,一般組成ABCO4をもつ新物質・新構造の酸化物イオン伝導体を探索・合成し,いくつか新しいものを発見することにも成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,過去に発見した新酸化物イオン伝導体について,材料改変によるイオン伝導度の向上に成功し,その構造的要因を明らかにした.さらに,いくつか酸化物イオン伝導体の新しい構造型を発見することにも成功しているため,研究はおおむね計画どおり進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,一般組成式ABCO4をもつ材料の新構造・新物質材料の探索,およびイオン伝導度の評価と構造解析を進めており,引き続き同じ指針で研究を進める.また,これまでに得たABCO4型材料の構造とイオン伝導度に関する知見から,これまでに発見したABCO4型酸化物イオン伝導体のさらなるイオン伝導度向上を目指した研究を進める予定である.
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