2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of vacancy structure and low-diffusivity in high entropy alloys
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
16H00890
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 正隆 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50324801)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高エントロピー合金 / 第一原理計算 / 格子欠陥 / 空孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
High Entropy Alloy(HEA)は元素の種類を増やすことによる高エントロピー効果により固溶体合金を得るというものであり、大格子ひずみ、低拡散性、元素のカクテル効果によって、高強度、高靭性、優れた高温特性などが期待されている。本研究では、代表的な高エントロピー合金であるCrMnFeCoNi合金を題材にし、固溶体合金のバルクの特性の計算に利用されているSpecial Quasi Random Structure(SQS)を、欠陥構造に適したモデルに拡張することにより、網羅的に空孔形成エネルギーの計算を行い、導入される原子空孔の構造を明らかにすることにより、拡散の活性化エネルギーや導入されるひずみを定量的に評価し、HEAの特性の要因の解明につなげる。まず、CrMnFeCoNi合金から1元素を抜いた各4元系合金について108原子の立方体のセルでSQSモデルを作成し計算を行った。完全結晶において構成元素の原子半径差に起因するひずみ、すなわち理想的な格子点からの変位を調べた結果、各原子種の平均変位は原子番号の増加とともに低下することが分かった。これはd軌道の占有数の増加に伴い軌道の広がりが低下することに起因している考えられる。CoCrFeNi合金における空孔形成エネルギーについては、分布幅は原子番号が大きくなるとともに小さくなり、平均値は増加することが明らかとなった。特に空孔形成エネルギーが増加する傾向は純金属とは逆の傾向であり、経験的な知見からは予測できない新たな結果である。今後は5元系についての計算を行うことにより、構成原子種の増加、すなわち高エントロピー化が原子空孔の安定性に与える影響を明らかにし、高エントロピー合金の特徴である低拡散能の解明につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の課題であった欠陥構造に適したSQSモデルの作成は予定通り終了した。作成したSQSモデルを用いて行った4元系合金の空孔形成エネルギーについては新たなが得られており順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度作成した4元系SQSモデルを5元系に拡張して計算を進めていく。所属研究室で行われている陽電子消滅法を利用した高エントロピー合金における原子空孔に関する研究との連携も進めていく。
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Research Products
(1 results)