2016 Fiscal Year Annual Research Report
Nano structure control and proton transport of barium zirconate thin-film
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
16H00891
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 仁丈 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (30292246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 構造・機能材料 / セラミックス / 薄膜 / プロトン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、代表者が見いだしたプロトントラップ現象の制御を目指した研究である。エピタキシャル薄膜における格子不整合を積極的に利用することにより、ペロブスカイト構造のプロトン伝導性材料において、プロトン会合エネルギーを決定している水素結合角(O-H-O)を制御し、プロトンの会合エネルギー低減を目指すことを目的としている。水素結合角を制御するために、基板との格子不整合を利用する。薄膜-基板界面における格子ひずみがプロトン拡散係数および会合エネルギーに及ぼす影響を明らかにし、高速プロトン伝導を有する新規材料開発の設計指針を提案する。 本年度は、レーザーアブレーション法によるエピタキシャル薄膜の作製条件の最適化、薄膜X線回折法を用いた格子ひずみの評価およびプロトン伝導度測定を行った。イットリウムを20 mol%添加したジルコン酸バリウム薄膜作製条件を、MgO、Nb添加SrTiO3基板の2種類について探索した。2つの基板ともにエピタキシャル成長可能な条件を明らかにした。これらの作製した試料に関して、薄膜X線回折法により薄膜面直、面内方向の格子ひずみの評価を行った。基板不整合度および膜厚による格子ひずみの変化を定量的に評価することができた。 作製した薄膜のプロトン導電率測定をMgO基板上の試料に関しては面内方向に、Nb-SrTiO3基板上の薄膜は面直方向にそれぞれ行った。その結果、作製した薄膜においてはジルコン酸バリウムバルク体と比較して、著しく小さなプロトン伝導度となることが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、薄膜の作製、格子ひずみの評価、プロトン導電率測定を2種類の基板を用いて評価した。薄膜作製条件の最適化を完了し、2種類の基板上でエピタキシャル薄膜の作製に成功している。また、格子ひずみの定量評価にも成功しており、本年度予定していた全ての計画を遂行できた。さらに、次年度予定していたプロトン導電率測定に既に着手しており上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きプロトン導電率測定条件の最適化を遂行し、最適化完了後に導電率緩和法によるプロトン拡散係数の測定を行う。
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