2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロMXene積層構造の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Atomic Layer Systems |
Project/Area Number |
16H00901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 將史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20453673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 層状化合物 / ナノシート / キャパシタ / 二次電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グラフェン・カルコゲナイド・酸化物とは全く異なる新しい原子層物質としてナノシートMXeneに着目し、その未開拓な基礎物性の解明を通じて新規物質群に基づく原子層科学の新領域を切り拓くことを研究目標とする。MXeneと総称される導電性ナノシート(組成:Mn+1XnTx, ただしTxは末端基-F, -OH, -Oなど)は、2011年に合成法が報告された全く新しい原子層物質であり、その物性は殆ど明らかになっていない。そこで本研究開発では、多彩な組成のMXeneを合成し、その導電性を含めた物性をA03応用班長汐Gとの共同研究で解明する。また、A04理論班安藤Gとの共同研究により理論計算を行い、系統的な物性理解を図る。更に、多彩な組成の単層MXeneをbuilding unitとして、ヘテロMXene積層膜の作成法を確立して得られたヘテロ積層膜の物性を解明することで、最終的には新規物性現象の創出を狙う。本年度においては、MXeneの物性測定を長汐グループとの共同で行った。その結果、MAX相Ti2AlC、MXene Ti2CTxは半導体的挙動を示すことが明らかとなった。また、安藤グループとの共同でMXeneの電子状態計算を行い、蓄電デバイスの電極活物質として使用した際の電位分布を計算し、非常に特異的な閉じ込め効果が発現していることが分かった。この閉じ込め効果は、電極のキャパシタンスを増大することが分かり、学術的にも工業応用上も非常に意義の大きい成果であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
特筆すべき成果として、安藤グループとの共同でMXeneの第一原理計算を行い、特に二次電池の電極活物質に応用した際、層間に存在するイオンと溶媒が強く相互作用し、極めて特異的な閉じ込め効果が発現することを見出した。この閉じ込め効果は、電極が示すキャパシタンスを増大することも明らかとなり、今後の応用展開が期待される成果であることから、当初の計画以上に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
MXeneを単層で剥離してその物性を測定することにこれまでに成功しておらず、MXene剥離技術を化学的、物理的に探究する必要がある。同時に、表面官能基がMXeneの安定性に大きな影響を与えることが示唆されており、今後、安定な表面官能基制御技術を確立する。単層剥離に成功した際は、長汐グループとの協業で物性測定、特に、ゲート電圧によるキャリア数制御が可能であるか試みる。また、理論との協業で、MXeneの電子状態について系統的な知見を得たうえで、優れた特性を示すMXeneを合理的に設計する。
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Research Products
(6 results)