2016 Fiscal Year Annual Research Report
3次元ナノ多孔質グラフェンのテラヘルツ応答と素子応用
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Atomic Layer Systems |
Project/Area Number |
16H00906
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 行雄 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90334250)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、3次元グラフェンを用いることで、高性能なテラヘルツ素子の開発を目指す。この材料は、線形なバンド構造、高いキャリア移動度等、単層グラフェン特有の性質を保持したまま3次元化している。さらに、単層グラフェンの光吸収率よりも格段に高い値を示すため、テラヘルツ素子として有望である。また、多数のポーラスを有するため、電子伝導や熱伝導をポーラスの形状により制御することができる。以上から、3次元グラフェン膜の基礎的な電子・光物性を探求し、その知見をデバイス性能向上にフィードバックしながら研究を進める。 今年度は、グラフェン膜が有するポーラス構造に着目した研究を行った。まず、この材料がテラヘルツ~赤外領域において90%以上の高い吸収率を示すことを観測した。次に、この材料の光応答の空間分解測定から、ポーラスの径が小さいほど熱局在が顕著に生じることがわかった。この振る舞いは、ポーラス近傍のグラフェン膜が大きなひずみを受けるため、熱伝導が局所的に抑制されるためと解釈できる。また、この結果は熱伝導率や光反射率のポーラス径依存性の結果と一致する。以上から、テラヘルツ光に対する応答もポーラス径が小さいほど強く生じると予想される。実際に電気伝導測定用のソースならびにドレイン電極を有する素子を作製し、テラヘルツ応答を測定したところ、上記の予想と一致することがわかった。以上の結果は、ポーラス構造のデザインを最適化することにより、テラヘルツ応答の効果を増強できる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は、3次元グラフェン膜の局所的な物性を探求することで、テラヘルツデバイスに向けた有用な情報を得ることであった。実際に、この膜材料の特徴の1つであるポーラス構造がテラヘルツ応答に対して顕著に効いていることを見い出し、デバイス性能とリンクしていることがわかった。これは、来年度のデバイス応用展開に向けて大きな前進であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
デバイスとしての性能を評価する。新規な材料であるため、物性を1つ1つ押さえていきながら、性能向上を行っていく。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] A nanoporous graphene terahertz detector2016
Author(s)
Juxian Li, Daichi Suzuki, Shunri Oda, Yoshikazu Ito, Takeshi Fujita, and Yukio Kawano
Organizer
51st Fullerenes-Nanotubes-Graphene General Symposium
Place of Presentation
札幌市
Year and Date
2016-09-07 – 2016-09-09
Int'l Joint Research
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