2016 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic strain control of stacked 2D atomic layered materials and their application to NEMS
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Atomic Layer Systems |
Project/Area Number |
16H00920
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋田 成司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60202529)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 原子層 / ナノ電気機械システム |
Outline of Annual Research Achievements |
究極のバイマテリアル構造である積層原子層系によるナノ電気機械システム(NEMS)に関する動的な歪の発生、計測とその制御、およびNEMSへの展開に関する研究は、基礎物性の理解だけでなく高機能なデバイスとして応用するには非常に重要である。本研究では、原子層積層膜による動的に歪量を制御可能なハイブリッド原子層膜NEMS分野を開拓することを目的とし、以下のように研究を進めた。 1-1.積層原子層膜両もちはりデバイスの静特性 光誘起熱応答の面内分布を計測の出来る系を構築した。また、積層膜を実現するために剥離法により任意の位置に転写可能な系を準備し、積層膜(BN/グラフェン、MoS2/グラフェン、BN/MoS2)を作製し静特性を測定した。MoS2を含む系では光電流応答が界面トラップによって変調を受けることを確認した。 1-2.小振幅線形領域における機械振動特性 共振周波数および損失パラメータであるQ値を単膜および積層膜において測定した。光学的な測定法では1-3に示すような効果が重畳し原子層膜そのものの評価に至らなかったため電気的な振動計測が可能となる系を新たに構築し、グラフェンNEMSの振動特性の評価が可能であることを確認した。 1-3.熱応答時間の解明 動的に熱歪を制御するには熱伝導率や熱緩和時間の情報は必要不可欠である。我々が提案している方法を用いて振動特性から熱応答時間を求めた。その結果、NEMSを構成している原子層そのものでは無く原子層支持部の熱容量が振動系に大きな影響をあたえ共振特性を変調していることが分かった。特に、非線形振動下ではこの影響が大きく、通常の非線形振動とは異なる挙動を示すことが実験的も理論的にも実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である積層膜の実現と基礎特性測定については順調に完了した。また、高精度でかつ複合的(光誘起現象と電気伝導)な測定が可能となる系の構築も完了した。さらに、当初予期していなかった系全体の熱遅延効果による振動の非線形性が制御できる可能性を見出すことが出来た。以上の事から「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.積層原子層膜の機械共振器の実現と線形振動領域における基礎振動特性 基礎振動特性として振動に対する歪の効果とエネルギー損失機構の解明が必須である。昨年度に引き続き、機械的な歪や滑りに関する情報を機械的共振周波数や共振エネルギー損失のパラメータであるQ値から抽出する。また、電子状態の変化はFETの出力特性、伝達特性、機械的な共振に誘起される高周波特性から捉える。ここで、電気的伝導特性には機械的変位によるゲート容量変化に伴う電荷密度変化だけでなく歪、光、熱、界面での電子状態変化の情報が含まれるため切り分けて議論する。 2.積層原子層膜における熱歪およびピエゾ効果による振動制御 光照射位置を変化し光誘起熱歪による振動特性をマッピングし熱歪発生の起源を明らかにする。また、最近TMDC膜において巨大ピエゾ効果が確認されたが、ピエゾ効果の基礎パラメータである電気機械結合係数に関するパラメータを振動歪と起電圧から求める。振動で発生した電力が消費されると機械的なエネルギー損失が増加すると予想され、これより内部損失の機構を実験的に明らかにするとともにこれを用いた振動制御を行う。 3.系の熱的、電気的遅延効果を利用した動的歪制御 振動に対して進みもしくは遅れを伴う熱歪や静電気力が存在すると、共振を記述する支配方程式のポテンシャル項だけでなく速度項に作用し、見かけのQ値が変化する。動的な電場、光誘起熱歪だけでなくピエゾ効果による逆圧電効果による動的歪を機械的振動の位相差を変化させ、動的歪制御を実現する。
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Research Products
(15 results)