2016 Fiscal Year Annual Research Report
非接触原子間力顕微鏡による氷表面上の化学進化の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Evolution of molecules in space: from interstellar clouds to proto-planetary nebulae |
Project/Area Number |
16H00933
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 宜昭 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00432518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙空間で、原子から分子、さらにより複雑な分子が形成されていく過程を化学進化という。これまでの研究で、星間空間にある分子雲で様々な化学進化が起こっていることがわかってきた。生命の材料となりうるような有機分子までもが、形成されていることが明らかになっている。気相反応に対する優位性から、分子雲では星間塵表面で起こる化学反応の重要性が指摘されている。星間塵は、アモルファス状態の氷が覆っていると考えられており、その氷表面で起こる化学反応を理解することが重要である。分子雲内部では10K程度の極低温になっているので、活性化障壁が大きい反応はほとんど起こらないと考えられ、触媒効果やトンネル効果の重要性が指摘されている。しかし、氷表面への原子・分子の吸着、表面拡散、化学反応に関して、基礎的な実験データが不十分であるというのが現状である。本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、氷表面形成の初期段階、水分子の自己拡散について調べた。AFMでは、鋭い探針の先端の原子と試料を構成する原子との間に働く力を計測するので、絶縁体も観察することができる。特に、AFMの最も発展した方式である非接触AFMを用いて、水分子が形成する水分子ネットワークを高分解能で観察することに成功した。これによって、今までの手法では明らかにできていなかった、水分子ネットワークの欠陥や末端構造を明らかにすることができた。また、水分子ネットワークに吸着した単一の水分子の拡散を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冷却した金属基板表面に水分子を超高真空中で吸着させて、低温のAFMで観察を行ったところ、水分子が互いに水素結合して形成される水分子ネットワークの画像の取得に成功した。さらに、その水分子ネットワークに吸着した水単分子が拡散する様子を捉えることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、金属基板表面に水分子を吸着させて、各種の水の凝集構造や様々な膜厚の氷表面を作成し、AFMによって高分解能観察を行う。そして、原子分子の拡散について原子レベルで調べていく。
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Research Products
(34 results)
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[Presentation] Observation of Azulene-to-fulvalene Rearrangement by AFM2016
Author(s)
A. Shiotari, K. Iwata, T. Nakae, Y. Shinagawa, S. Mori, T. Okujima, H. Uno, H. Sakaguchi and Y. Sugimoto
Organizer
24th International Colloquium on Scanning Probe Microscopy (ICSPM24)
Place of Presentation
Hawaii Convention Center, Honolulu, USA
Year and Date
2016-12-14 – 2016-12-14
Int'l Joint Research
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