2016 Fiscal Year Annual Research Report
衛星搭載X線SOI検出器を用いた太陽アクシオン地上探索
Publicly Offered Research
Project Area | Interdisciplinary research on quantum imaging opened with 3D semiconductor detector |
Project/Area Number |
16H00945
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小貫 良行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40415120)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アクシオン / 半導体検出器 / Silicon On Insulator / ピクセル検出器 / 素粒子実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究発表)International Symposium on Revealing the history of the universe with underground particle and nuclear research 2016及びInternational Workshop on Double Beta Decay and Underground Science 2016に参加し、ポスター発表を行った。また2017年3月第72回日本物理学会年次大会において2件の口頭発表を行った。 (研究開発)・恒温槽を用いた低環境放射線BGと低温環境の実現...恒温槽内部の遮蔽体を恒温槽外部の構造体で支持できるようにし、低温環境と低環境放射線BGの両方を早期に実現することに成功した。・CdTe検出器を用いた環境放射線BG遮蔽の最適化への取り組み...CdTe検出器は半導体検出器としては原子番号が大きく、Siに較べ高いエネルギーの環境γ線のスペクトルが得られる。これを用いて鉛、銅、錫などを用いて遮蔽体の最適化を行った。これにより先行実験の環境放射線環境の3倍程度に迫る遮蔽環境を実現した。・スタックXRPIX検出器の開発...大型のXRPIX5素子を複数枚近接スタックし、それを一枚の読出しボードで制御する開発を行った。これにより大幅な性能向上が見込める。・Ge検出器を用いた更なる低バックグラウンド化への取り組み...更に低BG化を目指し、スタックXRPIX検出器で使用する部品の天然放射性元素の含有量をGe検出器で測定した。その結果、いくつかの部品から有意な放射線信号を検出することができた。この部品をより低BGなものに交換することで更に性能向上が見込める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
恒温槽と支持構造体を用いることで当初よりも早い時期に低温環境と低放射線BG環境を実現することが可能になった。これにより遮蔽体の最適化についての理解が進み、先行実験との差を実測値で比較できるようになったことは大きな進展であった。また、これらの結果を元にして環境BGシミュレーションのチューニングが可能になった。またGe検出器でスタックXRPIX検出器の部品由来のBG量を測定ができるようになり検出器由来のBGも定量的に評価できるようになった。宇宙線反同時計数カウンタを設計、製造し、性能評価を行うことができるようになった。 また、データ解析についても進展があった。γ線、β線、α線、宇宙線などの特徴ある信号をクラスタリングするアルゴリズム(Density-based algorithm)を採用し、柔軟性に富むクラスタリングが可能になった。更にこれらの形を抽出して機械学習で判断させることで、BGの粒子識別を行い、BGを効率的に排除することを目指して研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
スタックXRPIX検出器が完成させ、長期安定運用できるようにハードウェア、ソフトウェアなどで自動化を進める。また、宇宙線反同時計数カウンタを完成させ、読出しエレクトロニクスに組み込むことで低BG化を推し進める。これと同時に遮蔽環境の最適化し、またデータ解析においても機械学習による粒子識別を完成させ、先行実験を超える低BGなデータを取得できるようにする。その後、数週間程度の予備実験を実施し、細かな修正などを行った後に数か月による本実験を実施し、ハドロニックアクシオンの世界記録を更新する。その結果を国際会議で発表する。
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Research Products
(3 results)