2017 Fiscal Year Annual Research Report
有機ラジカルのスピンに基づく単分子スピントロニクス素子の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
16H00962
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 未知雄 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (80295477)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子コンピューター / 分子集積回路 / 負性抵抗素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子コンピューターのモデルとして利用可能な分子系について、さらなる検討を行った。 (1)これまでの研究で、最も有名な分子性導体のひとつであるTTF-TCNQが、パイエルス転移温度以下の絶縁相において負性抵抗を示すことを見出している。この負性抵抗の温度依存性をさらに詳細に検討したところ、TTF-TCNQに見られる3つの相転移が、温度だけでなく、印加する電流密度によっても現れることを見出した。さらに、これら3つの相転移点が、温度・電流密度が異なる場合でも同じ電導度で現れることが明らかとなった。この系における、負性抵抗を含む非線形導電現象と相転移が、電流印加により誘起されたキャリヤー密度に依存する現象であることが明らかとなった。 (2)高い対称性をもつシクロファン型のドナー分子のイオンラジカル結晶において、低温で正方晶系から単斜晶系へ対称性が低下する構造相転移を示すことを利用して、格子変形の方向を印加電流によって制御することを試み、実際に直交する軸方向で一方に大電流を印加すると電流を印加した軸の抵抗が減少し、もう一方の軸の抵抗が上昇する現象を見出している。この系では格子変形の方向が異なる小さなドメインがモザイク状に分布していると考えられ、大電流の印加により一時的に転移温度を超えることで、徐々に電流印加方向に抵抗が低い構造に変化するものと考えられる。しかしながら、これまでの実験では2つの軸方向に交互に電流を印加して測定を行っていたため、電流印加中の変化の様子は必ずしも明確でなかった。本年度、交流電導度測定法を組み合わせることにより、一方の軸に直流の大電流を印加しながらもう一方の軸の電導度の変化を同時に測定したところ、大電流の印加によって実際に構造相転移が生じていることを示す抵抗変化が観察された。分子集積回路のモデルの一つとして興味深い系である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)