2016 Fiscal Year Annual Research Report
原子層/分子集積体ヘテロ界面を用いた機能開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
16H00963
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北浦 良 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (50394903)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子性結晶 / 電気二重層トランジスタ / 六方晶窒化ホウ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、本研究の基盤となるデバイス構造の作製法について検討を行った。申請時の予定通り、(1)分子性結晶への六方晶窒化ホウ素(hBN)の転写、および(2)hBNへの分子の蒸着、の異なる二通りの方法を用いてhBN/分子性結晶の清浄な界面の作製を検討した。その結果、hBNの転写による方法では、転写時に発生するhBNシートのシワやhBNと分子性結晶の間へのバブルの混入が深刻な問題であり、清浄なhBN/分子性結晶界面の作製が困難であることがわかった。そこで、転写による作成方法を諦め、hBNへの蒸着によるhBN/分子性結晶の界面の作製を集中的に検討することにした。蒸着による方法を検討するに際しては、最終的なデバイス構造を見据え、界面の作製と電極の作製を同時に行う(基板への貫通孔の作製、電極の作製、hBNの転写、分子の蒸着という一連のプロセスを行う)こととした。本年度は、この一連のプロセスの各段階の条件を精密化し、hBN/分子性結晶の界面をもつ2端子デバイスの試作に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、デバイス作製法の基盤技術の確立を集中的に行い、hBNへの蒸着を用いた一連の作製プロセスを構築することに成功した。具体的には、集束イオンビームを用いたシリコン基板への貫通孔の作製、貫通孔を挟んで向かい合う一対の電極の作製、hBNの位置選択的トランスファー、hBNへの分子の蒸着、の4段階を経て作製するプロセスである。条件の精密化の過程で各段階の問題点を洗い出し、最終的にhBN/分子性結晶の界面を持つ2端子デバイスの作製に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年は、初年度に確立したデバイス作成方法に基づいて、ゲート電圧印加用の電極を加えた3端子デバイスを作製する。作製した3端子デバイスにイオン液体を滴下して電気二重層トランジスタ構造とし、イオン液体を用いたキャリア注入を実証する。室温でのキャリア注入が確認できれば、多量キャリア注入による金属化、さらには低温での超伝導転移を始めとした種々の電子物性探索を進める。なお、上記に加えて、他班の研究者と連携し、単分子デバイスおよびそのアーキテクチャーの機能探索を支える土台としての原子層の可能性の開拓も進める。
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