2016 Fiscal Year Annual Research Report
分子集合体における特異な電子状態を利用した非線形動作の探索とその制御
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
16H00964
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 英夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40311633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形伝導 / 分子集合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)最適物質の探索:これまで相転移現象を利用してパルス発生及び自励発振を実現してきたが、より安定したパルス発生のための物質系の探索を行った。不安定になる主たる原因は、熱的効果や結晶における格子の運動である。そこで構造相転移を含まないような系の探索を行った。具体的にはBEDT-TTF系物質やコロネン等の多環芳香族炭化水素系物質について電子相転移あるいは電荷秩序転移に着目した。ダイマー構造を有するBEDT-TTF化合物において、ダイマー内の電荷の位置の自由度を利用した電子状態の変化が電場によって誘起可能であることから、このような自由度を利用した非線形性の探索を行った。電荷自由度に由来すると考えられる複数の状態間を外場により制御できることを見出した。この制御は双方向に可能であること、温度により制御性が変化することなどを明らかにした。
(2)光エネルギーによる振動現象の発生、非線形パルス生成・制御:光パルスあるいは光エネルギーによる振動発生あるいはパルス生成を目指し研究を行った。これまで実現してきた非線形伝導現象を用いた電流パルス発生においては、付加容量への充放電によってパルス発生のタイミングおよび周期、パルス波形が決まっていた。これを外部からの信号で制御することを考えた。具体的には、有機電荷移動錯体を用い、発振する条件の近傍において試料に光を照射し、発振条件を変化させ発振のふるまいを変化させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
有機電荷移動錯体において電荷位置の自由度に由来すると考えられる状態間の外場制御に成功した。さらに非線形伝導にもとづく電流発振現象の光制御が、きわめて順調に実現できた。これらのことは、当初の目的や計画を十分に上回るものであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに探索してきた最適物質群において、具体的な非線形動作を実現するとともに、さらに非線形動作の制御性を高めることを目標に研究を進める。
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Research Products
(8 results)