2016 Fiscal Year Annual Research Report
Noise generation mechanism of single molecule and its application for stochastic resonance device
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
16H00968
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 恵 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50437373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SWNT / 分子 / 雑音 / CNT素子 / 確率共鳴 / 揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機分子が発生させる雑音に注目し、その雑音発生メカニズムを明らかにするとともに、雑音の種類、大きさを制御して、雑音を利用した確率共鳴素子の開発を目的とする。実験として、分子がCNTデバイスにもたらす雑音発生のメカニズム解明の為の実験Ⅰと、分子雑音を利用したCNT多経路確率共鳴素子の実験Ⅱの2種類の研究を並行して進行させる。当該年度の計画として、Ⅰ-① 分子雑音の温度依存性計測Ⅰ-② 分子雑音の分子依存性計測Ⅱ-① 確率共鳴素子の効率計測(計測に強い素子と方法の摸索)の三種類を計画していた。 Ⅰ-① 分子雑音の温度依存性計測では、POM分子を修飾した単一SWNT素子雑音の温度依存性を計測することに成功した。パワーノイズスペクトル内のローレンツスペクトル周波数の温度依存性は装置の雑音特性の限界によって得られなかったが、電流信号のRTS(ランダムテレグラフ信号)から周波数を抽出することに成功し、予測した熱活性関係であるアレニウスプロットにおける線形依存性を得ることができた。 Ⅰ-② 分子雑音の分子依存性計測としては新たに選定したMo系の金属錯体分子を用いて雑音計測を行った。分子はCNTにより確実な吸着状態を持つ為のペリレン基を持っている。しかしながら、これらの新たに試した分子はこれまでに計測した分子に比べると雑音増加があまり顕著に見られなかった。また分子内の原子を変更して分子の電子供与レベルを大幅に異なる同じ構造の分子を比較したが、残念ながらこれらに大きな変化が観測されなかった。 Ⅱ-① 確率共鳴素子の効率計測実験では、多経路CNT確率共鳴素子の分子添加量依存性を取得し、その関係を明らかに示すことに成功し、実験を繰り返して再現性を得た。Ⅰ-①、Ⅱ-① の結果は現在論文として国際学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験は全て行っている。そのうち一つは期待した結果が得られていないが、二つは良い結果が得られていて、論文としても報告出来るレベルである。よっておおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究申請時に計画した本年度の計画はⅠ-③理論計算との比較による分子状態とSWNT伝導度の検証Ⅱ-② 000経路以上の確率共鳴素子作製である。今年度までの関連する実験の結果から、これらの計画は変更を余儀なくされる。 まずSWNTに吸着した分子の電子状態をCNTの構造と共に計算することはかなり系が大きくなる為に難しく、よほどの実験結果がない限り計算の専門家にそれを計算してもらうことは難しいことがわかった。一方で我々が計算可能なレベルの半経験的な量子計算では求める電子状態に対し、十分に説得力のある結果は得られない。また、Ⅱ-②の実験ではCNTの本数はこれまで300本程度の素子を作成できているが、これ以上増やしてもわずかな入出力信号相関の増加が得られるのみであり、それよりはむしろ素子構成材料の抜本的な改良が求められていることがわかった。 よって最終年度の研究方向はターゲットを大きく変更する。これまでにCNT素子に金属錯体分子を加えた場合に非常に大きな雑音が発生することを突き止めたが、その分子の量とCNTの本数を増やしていくと、大きな集団的な電化吐き出しが起こり、パルス状の信号が素子から電流として発生することが確認できた。よって本年度はこのパルス信号の実験的条件を明らかにすることと、理論的なパルス発生機構を明らかにすることを目的に研究を進める。実験的にはパルス発生特性のCNTのネットワーク構造依存性を、CNT単位ではなく、素子の構造単位で比較することを予定している。微細加工技術を利用した多電極構造依存を明らかにし、より複雑な情報回路に対応できる素子づくりを目指す。また理論的には分子とCNTのネットワーク構造を基本構造とした電荷移動シミュレーションを行い、実験結果の裏付けを進める。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Discrete-charge-fluctuation Dynamics of Molecules detected by Carbon Nanotube Single Charge Sensors2017
Author(s)
Hayato Fujii, Agung Setiadi, Megumi Akai-Kasaya, Seiya Kasai, Ken-ichi Yamashita, Takuji Ogawa, Yasushi Kanai, Kazuhiko Matsumoto, Yuji Kuwahara
Organizer
Symposium on surface science & Nanotechnology -25th Anniversary of SSSJ Kansai
Place of Presentation
Kyoto International Community House, Kyoto, Japan
Year and Date
2017-01-25 – 2017-01-26
Int'l Joint Research
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