2017 Fiscal Year Annual Research Report
強相関ディラック・ワイル電子系におけるトポロジカル電子相と異常磁気伝導の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Frontiers of materials science spun from topology |
Project/Area Number |
16H00981
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 淳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (80609488)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / トポロジカル物質 / 低温物性 / ワイル半金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
パイロクロア型R2Ir2O7においてバンドフィリング制御によるモット臨界制御と異常熱起電力効果の探索を行った。本年度はホールドープによってバンドフィリングを変化させることで、ゼロギャップバンドまたはフラットバンドによる異常な電荷・熱輸送特性の可能性を探った。ノンドープで反強磁性モット絶縁体のEu2Ir2O7においてEu3+をCa2+によって部分的に置換することでホールドーピングを行った。(Eu1-xCax)2Ir2O7ではx=0.05でモット転移が生じ、金属となることが分かった。ゼーベック係数は100K以下でピークを持ち、x=0.1では50Kで30μV/Kに達する事が分かった。ゼーベック係数の異常な振る舞いを電子状態の観点から探るため、光学伝導度スペクトル(一種の光吸収スペクトル)を調べた。x=0では0.13eV程度の光学ギャップ(モットギャップ)が見られるのに対し、x=0.05では0.05eV付近にピークを持つ吸収構造を持つ金属的応答が現れ、フラットバンドによる状態密度が高い異常金属相が生じている可能性がある事が分かった。 また、ペロフスカイト型AIrO3(A=Sr, Ca)における異常電磁気応答の探索を行った。既にSrIrO3では磁場に線形な正の縦磁気抵抗効果が見られることが分かっているが、今年度は、一電子バンド幅を減少させて実効的な電子相関を強めたCaIrO3における輸送特性と電荷ダイナミクスを調べた。SrIrO3と比較すると低温でホール係数の絶対値が2桁程度大きい事が分かった。一電子モデルを仮定すると実効的なキャリア密度(電子)は10^17[/cm3]と推定され、実効的な電子相関の増加によってフェルミエネルギーがディラック点近傍にチューニングされる傾向がある事が分かった。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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